人手不足でも、うまい中華を。味坊集団が挑む「ロボ町中華」という新業態
都内の食好きが足繁く通う中国東北料理の名店グループが、16店舗目に選んだのは、茨城県守谷市の国道沿い。しかも厨房の主役は、調理ロボットです。隠すどころか店名に「ロボ」と冠したその潔さの裏には、26年分の職人の知見がありました。
「腕がある」からこそ、
機械に託す判断ができた


2000年に神田で産声を上げた味坊集団は、代表の梁宝璋さんが中国東北地方の家庭料理を軸に育ててきた飲食店グループです。
羊肉、点心、蒸し料理、湖南料理と、店ごとにテーマを変えながら都内を中心に15店舗を展開。いわゆる「ガチ中華」の代名詞的存在として、料理人の腕と本場の味で評価を積み上げてきました。
その味坊集団が、2026年8月にオープンした新業態「ロボ町中華・炒炒(チャオチャオ)」では、中国製のAI制御調理ロボットを導入しています。
中華料理の炒め工程は、高温の鍋を振り続ける体力と、火加減を瞬時に判断する経験が求められます。習得に何年もかかるうえ、同じ料理人でも体調や疲労で仕上がりにばらつきが出る。
ロボットはその工程を安定して再現できます。ただし、すべてを機械に任せるわけではありません。味坊集団の職人たちが長年かけて磨いたレシピと調理工程の知見を、ロボットが実行できる形に落とし込む。食材の下準備や品質管理、接客は人が担います。
つまりこれは、腕のない店がロボットに頼った話ではなく、腕があるからこそ「何を機械に託し、何を人がやるか」を切り分けられた、という話なのです。
都心の味を届ける
「翻訳装置」としてのロボット


出店先が守谷市という点も見逃せません。
味坊集団は茨城県つくば市近郊に自社農園を持ち、無農薬野菜を栽培しています。調味料や点心の皮、漬物まで自家製にこだわる姿勢は、ロボット調理の店でも変わらないとのこと。
食材の供給ラインが近い土地に、調理人材の確保が難しくても成り立つ仕組みの店を置く。ロボットはここでは効率化の道具というより、都心で磨かれた味を郊外の日常食として届けるための翻訳装置のような存在です。
行きつけの店が人手不足で営業時間を短縮したり、閉店したりする光景は、もはや珍しくありません。「おいしい店に行きたいのに、近くにない」という郊外の食卓の切実さに、ロボットが応えられるとしたら。
大手チェーンの標準化とは異なり、個人店の哲学を持ったグループが、自分たちの味をどこまで届けられるかを検証する実験場。味坊集団は「炒炒」をそう位置づけています。
「ロボ町中華」という看板は、ごまかしのない宣言です。食べてみて、それが職人の味と区別がつかないなら、私たちの「おいしい」の定義も少しだけ更新されるのかもしれません。
ロボ町中華・炒炒(チャオチャオ)
【オープン日】2026年8月6日
【所在地】茨城県守谷市百合ヶ丘1-2024-86
【TEL】0297-21-2612
【営業時間】平日 11:00〜15:00/17:00〜23:00、土日祝 11:00〜22:00(変更の場合あり)
【公式サイト】味坊集団






