潮の流れより速く泳ぐ「水中凧」。海の新しい発電技術が進化中

海の中で巨大な凧を飛ばし、潮の流れを利用して電気を生み出す。そんなユニークな発電技術が、実用化に向けて進化を続けています。

開発したのは、スウェーデンの海洋エネルギー企業Minesto(ミネスト)社。翼を持つ機体が海中を自律飛行し、潮の流れを電気に変える、これまでにない仕組みの潮流発電機です。

潮の流れより速く泳ぐ
水中凧の仕組みに

海流や潮の満ち引きを利用する発電といえば、海底にプロペラを固定して回す設備を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、ルナの愛称を持つミネスト社のDragon 12が採った手法は大きく異なります。

海底のアンカーから伸びるワイヤーに繋がれた約28トンの機体は、潮の流れから揚力を得て水中で8の字を描くように滑空します。この動きにより、機体自体の速度は周囲の潮の流れの数倍にまで加速する仕組みです。

機体が自ら加速することで、搭載された小型タービンには極めて強い水流が供給されます。巨大な固定式風車のような設備を海に沈めなくても、緩やかな潮の流れから効率よくメガワット級の電力を生み出せます。

10メートルの延長がもたらした
発電性能25%の飛躍へ

この水中カイトが、北欧フェロー諸島のベストマンナ海峡にある実証拠点で大きな前進を遂げました。

同社が海底と機体を結ぶテザーと呼ばれる係留ロープを10メートル延長する改修をおこなったところ、事前の計算通りの飛行軌道を示したのです。

その結果、従来の試験データと比べて発電性能が約25%向上しました。

同社CEOのマーティン・エドルンド博士は、計算モデルの正しさが実物で証明され、将来の大規模な商用展開における予測の信頼性が大きく高まったと報告しています。

穏やかな海から
電気を生み出す海洋国の未来を

太陽光や風力発電の適地が限られる日本にとって、海は広大な可能性を秘めたフロンティアです。

しかし、日本の近海は場所によって潮の流れが穏やかで、従来の大型設備では採算が見合わないという課題もありました。

潮の流れに身を任せるのではなく、自ら揚力を生み出してスピードを上げるカイトの発想は、静かな海からも電力を取り出す新しい選択肢を示しています。

海中を旋回する巨大な凧が、私たちの暮らしを支える日常もそう遠くないかもしれません。

Top image: © iStock.com / Lajst
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