野菜を食べて、ジャンクフードをやめさせるナイスな仕組みとは?(アメリカ)
2014年5月19日、当時国連の特別報告官を務めていたオリビエ・デシューター氏が、世界保健機関(WHO)の首脳会談で「不健康な食品はタバコよりも深刻な問題である」と発言したことがニューヨーク・タイムズ紙にも掲載され話題になりました。
すでにメキシコでも糖分の高い炭酸飲料やポテトチップスなどの加工食品が課税対象となっており、アメリカでも同様の変化が見られるようです。
ジャンクフードに課税開始!
健康食品は非課税に
一部地域ではありますが、2015年4月にはアリゾナ州ナバホ自治区で糖分、塩分、脂肪分が高いスナック菓子やファストフード、缶詰製品などに課税が導入されました。5%ある売上税に加え、ジャンクフード税が2%加算される仕組みです。
実は、同地域では健康的な食品(野菜や果物)への課税が2014年10月に撤廃済み。2020年に改めて税率を改定する予定で、いわばテストのような試みと言えそうですが、住民の健康に寄与できるのはないかと期待があります。
一方、ロサンゼルス・タイムズ紙には効果がプラスに働かないのではないかと懸念する声も。
貧困層にとっては逆効果?
「フルーツが安くなるのは素敵だけど、年金も同時に減ってあまり効果はないと思うわ」
そう語るのはナバホ自治区に住む54歳の女性。彼女の暮らしているエリアは40%もの非雇用者を抱えている貧困地域で、肥満や糖尿病患者の割合が高いことでも知られています。
Mother Jonesによると、ナバホ自治区は十分な野菜やフルーツを取り揃えている店舗自体が少なく、北海道本島並みの広大な土地に対し、生鮮食品を扱う店が10店舗しかないのだとか。そのため、保存のきく冷凍食品やジャンクフードに頼らざるを得ないのではとの意見も。
税収で健康を支援!
アメリカ心臓協会によれば、国防省契約監査局(DCAA)がこの税収によって生まれる200~300万ドル(約3億5千万円)を基にした住民の健康管理プロジェクトを計画中。その予算の一部を散歩用のウォーキングトレイルやコミュニティ用の施設の設立費、必要なエクササイズ用品の購入費へと充てる予定です。
カリフォルニア州・バークリーでもソーダ税が導入され話題になりました。タバコと同じように、好ましくない食品の税率を上げて健康的な食生活を促す意図もあります。が、もちろんジャンクフードから得られる税収によって社会的なサポートが充実することも考えられます。
ジャンクフード税や健康食品の税率緩和が今後生活や健康にどう影響するのか。もしも日本で始まったらと考えると、新鮮な食品が安くなるので手放しに喜んじゃいそうですが。それでは単純すぎるのでしょうか?
Reference:The New York Times,Los Angels Times,
Mother Jones,AHA