皇室御用達のおもてなし術に学ぶ、一流になるための「5つの習慣」

「一流」と呼ばれる人たちは、私たちとは根本的な何かが違うのでしょうか。実は、当たり前のことを続けているだけなのです。ここでは、誰でもできる、チャンスを引き寄せる一流の習慣を紹介します。「一流」は一日にして成らず。あなたも今日から「一流の習慣」を積み上げていってください。

01.
迷ったり尻込みして
チャンスを逃がさない

チーフパーサーになって5年が過ぎた頃、思いがけないことに会社から「里岡さん、接遇マナーの講師をやってもらえませんか」というオファーがありました。社外に行ってお話をしてくるお仕事だそうです。

講師としてCAを社外に派遣するのはANAでも初めての試みでした。前例のないことで自信もありませんでしたが、「せっかく選ばれたのならやってみたい」という気持ちになり、お引き受けしました。結果、そこから様々な出会いと学びを得ることができました。

新しい仕事をふられると、尻込みする人がいます。いきなりの打診に対してもったいぶる人もいます。でも、やってみてもいいと思ったなら、気持ちよく引き受けましょう。返事を引き延ばしているうちに、チャンスは逃げてしまいます。

プレッシャーを感じるより、チャンスを楽しむ気持ちでトライしてみましょう。ひとつ実績ができると、次のチャンスにもつながります。新しい依頼にも素直に対応できるあなたでいてください。

02.
プロフェッショナルの条件
「一定以上のレベルをキープ」

入社して9年目の春、「トップVIP担当客室乗務員養成制度」がスタートし、私はその第1期生に選ばれました。なぜ私が選ばれたのか不思議に思って直属の上司に尋ねてみると、
・いつも身だしなみがきちんとしていること
・お茶こぼしなどのミスがほとんどないこと
・言葉づかいや態度が落ち着いていること
が挙げられました。

そんな人はほかにもたくさんいるのに……と思いましたが、選ばれた5人を見ますと、ずばぬけた能力を持つ人や華やかな雰囲気がある人たちではありません。それよりも好不調の波が少なく、堅実でどんな方にも悪い印象を与えない人が選ばれていたのです。

会社として信頼できるのは、そういう人材なのだと気付きました。一定以上のレベルを常にキープできることが、本当のプロフェッショナルなのです。
当たり前のことですが、自分にチャンスがめぐってきて、安定感こそが周囲の信頼につながるのだとあらためて感じました。

03.
心を態度で
きちんと伝える

天皇・皇后両陛下のおともをさせていただいたこともあります。もちろん特別なきまりもたくさんあり緊張するのですが、両陛下は周囲の者が緊張しないように気づかってくださるので、懐に飛び込ませていただく気持ちでした。

皇后陛下は常に陛下をお支えしていらっしゃり、国を代表される方への限りない愛と尊敬が伝わってきて心を打たれます。間近でそういう皇后陛下のお姿を拝見していますと、相手の方への思いというのははっきり態度にあらわれるのだと痛感します。

何度かおともさせていただいた中で、皇后さまが少しお疲れかしらと感じたことがありました。もちろん公衆の前ではにこやかにほほえんでいらっしゃいますが、いつもの皇后さまとは少し違う様子がありました。

でも、陛下が皇后さまに話しかけられると、座りなおして身体全体を陛下のほうにむけられて、お話を聞いていらっしゃいました。耳を傾けるとはまさにこういうことなのだと衝撃を受けました。お疲れのご様子なのに、全身で陛下の気持ちを受け止めようとなさっているのがよくわかるお姿でした。

お客様へのおもてなしも、立ち居振る舞いや手順だけではなくて、お気持ちをくみ取ることがいちばん大切です。ご用があればいつでもお伺いいたします、という心が伝わる態度で接遇しなければなりません。心をきちんと態度であらわすことが大切です。

04.
自分を卑下せず
「どうしたらVIPに近づけるか」
をイメージ

VIPのみなさまを接遇させていただいて感じるのは、社会的なステイタスのある方々ほど、謙虚であるということです。世に出る方は独特の息吹をお持ちですし、人間性も素晴らしいと思います。

よく、そういう方々と自分を比較して、「やっぱり自分とは住む世界が違うから」「私はそういう立場ではないから」と自分を卑下したり、コンプレックスを感じたりする人を見かけます。まず、いまの自分とその方との距離のほうに目を奪われてしまうんですね。それがネガティブな感情につながってしまうのは残念なことです。

もちろんそういう方々とは境遇が違いますし、能力的な差があるのは当たり前のことです。でも、うらやましがったり、劣等感を感じるばかりでは、進歩がありません。

私は素晴らしい方に出会ったら、
・具体的にその方のどこが素晴らしいのか
・自分と比較して、どういう点が違うのか
と自分を客観的に見つめて、少しでも近づけたらいいなと思って務めていました。そうしない限り、せっかく素晴らしい方に出会っても、なにも学ぶことができないからです。

自分に足りないものを見つけ、磨いていく。その繰り返しが洗練された態度や人間としての成長につながり、新しい出会いやチャンスにも結び付くのではないでしょうか。

05.
好奇心を持って
自分自身の価値観を磨く

あなた自身の価値観を持ち、人に左右されずに物事を見ていく姿勢はとても大切です。人の価値観を借りてしか物事を見られないのは、結局、自分がないということです。それでは、いつまでたってもあなたの学んでいくポイントは見つかりません。

本当に自分が好きなもの、自分が恥ずかしくないと感じるものを知り、これ以上はしたくないと思う許容範囲がどこなのかを明確にしていくことで、目標が見つかり、ロールモデルにしたい方、この人のこういう部分を見習おうという気持ちが湧いてくるのだと思います。心を豊かにするために、好奇心を持って、さまざまな経験をしてみてください。

高級なレストランに行ってみるのももちろんひとつの選択肢です。ただ、それだけではなく、さまざまな趣のあるお店にも出かけてみましょう。安くておいしいと評判のお店の居心地がよく、値段もリーズナブルなことに満足するかもしれません。人から勧められたところに行ってみたけれど、自分のテイストには合わなかったら、それもひとつの発見です。

これを繰り返すことで、あなたはどういう場所が好きなのかわかってきます。何事も食わず嫌いにならず、たくさん経験して、あなた自身の価値観に気づいていきましょう。

人に左右されないあなた自身の軸をしっかりと持って、本物のプロフェッショナルを目指しましょう。

誰からも好かれる女(ひと)の人と運を引き寄せる習慣
コンテンツ提供元:里岡美津奈

里岡美津奈/Mitsuna Satooka

人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。