できない「おもてなし」はしない。海外で働くために知っておくべき4つの常識
海外で働いている人って、どこか優秀なイメージがありますよね。でもいくら日本国内で優秀な人でも、海外へ行ったとたんに仕事がうまくいかなくなってしまう人がいます。日本と海外の企業とでは、仕事に対する考え方が違うからです。
グローバルビジネスコンサルタントとして、様々な国でいろいろな人と働いてきた白藤香さんは、著書『90日間で世界のどこでも働ける人になる!』で覚えておかなければならない海外企業の常識を紹介しています。日本の常識は、世界の非常識!?
01.「時間内に」が絶対条件
海外では「事業計画は何が何でも絶対遂行」です。「1年後にはこの目標を達成する」「3年後にはここまでやり遂げる」という具合に、横軸に時間、縦軸に進捗を置いて仕事を進めていきます。日本の企業と仕事をするとき、この「いつまでに」という締め切りを意識していない人があまりにも多いことに驚かされます。
この事業計画への向き合い方、認識にズレがあっては、海外の人たちとの仕事はうまくいきません。
グローバルに活躍する日本人は、定められた時間内に100%の業務を遂行しなければ、能力を認められないことをよく知っています。そのため業務に着手する前に、どうすればそれができるのか、具体策を徹底的に考えます。
かといって、余計な時間をかけることはできません。最低限の時間で具体策を練り上げるクセをつけることが重要です。
02.「違いこそ美徳」自分の意見は堂々と言おう
海外では、他の人と違う考えをアピールすることが美徳になります。アピールし続けることで存在価値が認められる文化ですから、「空気を読もう」といった気づかいは一切不要です。
「I have a different opinion.」「I have a different point of view.」などの言葉を使って、自分の意見をどんどん出していきます。もう少し柔らかい言い方がよければ、「May I introduce our method?」「May I introduce our thinking?」という言い方もあります。それに対して相手も、「Effective.」「It’s so good!」などの反応を返してくれます。あまり感心しない意見であれば、「Inefficient.」と言われてしまうこともありますが。
ユニークな意見、他に類を見ない際立った意見というのは日本では非難の対象になりがちですが、海外では十分に相手の興味を引きます。「Why do you arrange such a unique design?」と聞かれれば、あなたに興味があるということ。「違いこそ美徳」ですから、遠慮なく自分の意見を述べてください。
03.
スキマ時間の
コミュニケーションで
成果を上げる
優れた成果を上げているチームほど、よくコミュニケーションをとっています。オフィスの通路で立ち話をしている光景も珍しくありません。
「今こんな状況があり、問題を抱えている。何か解決策はないだろうか」と最新状況を仲間に伝達し、即対応を考えようとすると、熱い議論が巻き起こります。その内容が緊急であればあるほど、即時の対応が求められるため、チームメンバーは協力を惜しみません。
海外企業は時間に対して厳しい意識を持っていることは変わりません。ですから、会議の前後、ランチや休憩時間などのスキマ時間をうまく使ってコミュニケーションをとるようにしているのです。誰もが自然とそうしているのは、そこから新しい会話が生まれ、それが戦略的なプランへとつながり、自分を成長させることになると、それぞれが理解しているからとも言えます。
すべては、収益を上げるという目的に向けたコミュニケーションと、それを生み出すチームワークづくりのキーポイントなのです。
04.できない「おもてなし」は最初からしない
「おもてなし」に対する考え方ほど、日本と海外で異なることはありません。日本の企業で来客があったときには、とくに相手の意向を確かめずにお茶やコーヒーを出すのが普通です。ところが、海外、とくに欧米や中東では、おもてなしをする以上は、完璧に相手の好みを反映するべきであるという感覚です。
たとえばコーヒーを出すとしたら、まずコーヒーが飲みたいかどうかを聞きます。さらにレギュラーコーヒーかデカフェか、飲み方はブラックか、砂糖やミルクを入れるのか、サイズはS、M、Lのどれがいいのか、といったことを細かく確認して、その通りのものを出さなければなりません。
来客の度にそんな労力を割けないというのなら、無理して飲み物を出す必要もありません。海外では訪問先で飲み物が出てこなくても誰も気にしません。訪問者自身が持参するケースもあります。
外国人をおもてなしするときは相手の意向を聞き、それに対する返事は額面通りに受け取ればいいのです。「気づかいや遠慮から、心にもないことを言っているのでは?」という深読みは必要ありません。