世界で戦うのなら才能よりも「やり抜く力」

世界に通用する人材になるためのワークショップを開講している布留川勝さんの著書『パーソナル・グローバリゼーション~世界と働くために知っておきたい毎日の習慣と5つのツール~』(幻冬舎)では、挑戦を続ける難しさと重要性を説いています。

世界の人々から「日本人は真面目である」と賞賛されていますが、「やり抜くかどうか」という目線で見ると、まだまだ足りないような気がします。どんな仕事でも「継続の大切さ」を知っていれば、もっと人は成功できるし、成長もできるはず……。

「やり抜く力」を得て、一つ上のビジネスパーソンになろうではありませんか!

成功を手にするのは
才能よりも“やり抜く力”

ペンシルベニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワースは、高い成果(ハイ・パフォーマンス)を出すためにはどんな能力が必要か、という研究を行いました。もちろん分野ごとにそれぞれ必要とされる能力は異なっていましたが、共通して必要なものがありました。

それは「成功するまであきらめずに続ける能力」でした。

多くの成功者の中には、キャリアの初期の頃から、才能に恵まれたライバルがいました。ですが、その人たちは途中で挫折をしたり、興味の対象が変わったりしていつのまにかいなくなるのがオチです。その業界に残っているのは、最初は才能があるように見えなかったとしても、一つのことを長年続けることができた人だけ……。しかも彼らは決して自分自身に満足することなく、成功者となってからも自己研鑽を続けています。

成功する人は得てして、驚異的な粘り強さを持っており、アンジェラはこの力を「やり抜く力」と名付けました。

多くの人が「自分には才能がない」といって、何かをはじめても途中でやめてしまいます。しかし、アンジェラによれば、才能とやり抜く力にはまったく関連性はないそうです。それどころか、才能があると持て囃された人は、どちらかというと挫折に弱く、才能がないとされていた人々のほうが、同じことを続けて最終的に成功に至るケースが多かったのです。

この研究から導かれる結論はただ一つ。

もし、あなたにやりたいことがあるなら今すぐやるべきです。最初のうちはたくさんの困難があなたを待っていることでしょう。しかし、そこでやめてはいけません。なぜならば、成功するのは最後までやり続けた人だけだからです。

豊かさのなかで
競争力を失った日本

外国へ行くたびに感じるのは日本の豊かさです。もちろん、富裕層だけで比べたら、外国の方がとてつもないお金持ちがいるのですが、日本は平均的に豊かです。インフラが整っており、街がきれいで、お店のサービスが行き届いているのが何よりの証拠です。

それは企業の雇用環境にも見られます。隣国の韓国も、市民の生活だけをみれば日本に劣らない豊かな国ですが、受験や雇用における競争は日本よりも激しいです。日本と違って国内市場の狭い韓国では、グローバル市場で収益を確保するために、企業も社員もグローバル化にかける執念が日本とは桁違いなのです。

韓国のグローバル企業の社員は、海外の子会社へ出向する場合、10年単位での移動を覚悟しなければなりません。むしろ、現地に移住し、現地の文化を吸収してマーケティングに活かすことが奨励されています。海外に転勤になっても3年ほどで呼び戻してもらえる日本企業とは、グローバリゼーションに対する覚悟が違います。

日本企業もグローバル化に向けて本気にならなければなりませんが、社員に海外移住を進めるほどには成長していません。それは、日本という国があまりにも豊かで住みやすい国になってしまったからでしょう。

しかし、日本のつくり上げた社会主義的な平準化された豊かさは、逆に日本の若者からハングリー精神を奪い取ってしまったような気がします。

このままグローバリゼーションが進めば、日本人はいずれ新興国のハングリーな人材との競争に、負けてしまうことになります。そのとき、豊かさのなかで育った日本人の若者は、彼らと戦っていけるのでしょうか。私(著者)はそれが心配なのです。

大切なのは、いますぐ動くこと。
会社を社会を変えるのは自分自身

日本の大企業は、日本人の採用が中心となり、なおかつ年功序列の平等主義で、同期間で差がつかないような育成をしています。

一見、企業の温情にみえますが、それは社員を甘やかしていることにならないでしょうか。英語で喋れなくても、あるいは自分を磨かなくても、クビにはならず、年次に従って順当で昇級することになれば、勉強する気がおきなくても仕方ありません。

大切なのは、いますぐ動くことです。刺激を受けて、何かをしなければと感じる人は大勢いますが、3日もすればその焦燥感は忘れて、元の生活に戻ってしまいます。それだけ、日本企業は居心地が良いのです。ですが、その居心地の良さはあと何年持つのでしょうか……。

かつて業界内で高い位置を占めていた日本企業は、アメリカやアジアの元気なベンチャー企業に常に狙われて、青色吐息です。

大切なのは「あなたが、この世界のなかでいかに生きていくか」です。そのために、あなたのいる会社を、社会を変えていかなければならないのです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。