中国で、ロッキー山脈の「キレイな空気」が飛ぶように売れている

深刻な大気汚染が続く中国・北京でいま、ある酸素ボトルが飛ぶように売れ、予約が殺到している。と海外のメディアが一斉に取り上げ、大きく報じました。どうやら、その中身が一味違うようですが、大反響の裏には北京市民の、藁をも掴みたい心境が伺えます。

ロッキー山脈の新鮮な空気が
北京で飛ぶように売れている!?

カナダ西部のエドモントンに工場を構える「Vitality Air」社。3,000メートル級の山々が連なり、手付かずの自然が残るカナディアン・ロッキー山脈の麓から、新鮮な空気をスプレー缶に詰めて販売しています。

この商品が、いま大気汚染に悩む北京市民を救う、救世主になろうとしています。中国で販売されているミネラルウォーターの、およそ50倍の値段にあたる100元(約1,872円)という高値にも関わらず、飛ぶように売れているんだそう。


北京市内に“赤色警報”
過去最悪の大気汚染

こちらは、深刻な大気汚染が進む北京市内の様子。写真に映る二人の後方数メートル先の視界が、もはやほとんど霞んで見えないレベルです。

2015年12月8日から10日にかけて、北京市内の大気汚染を示す警戒サインは、過去最悪レベル4に達し、子どもや高齢者の外出を政府が禁止する“赤色警報”が発令されました。対策が始まった8日朝、米国大使館が測定したPM2.5の濃度は、1立法メートル辺り291マイクログラム。WHO推奨レベルのじつに10倍に達する、酷い状況だったと「BBC」は伝えています。

「マスクを身につけていても不快に感じるほど。自分の身を守るためなら、できることは何でもしなきゃ」

取材に応じた、北京在住のLi Huiwenさんのこの言葉からも、我が身を守るのは自分の役目、と市民の藁をも掴みたい危機感が伝わってきます。

袋に詰めただけの空気が
2万円で落札!?

そんな中国都市部の状況に、ビジネスチャンスを見出したのが遠く離れたカナダのVitality Airです。2年前に立ち上がったばかりのベンチャー企業を「VICE News」がわざわざ特集を組んだのも、彼らの戦略が完全にはまったからでしょう。

創業者のMoses LamとTroy Paquetteの両氏は2年前、中国を頻繁に訪れていた友人から、深刻化する大気汚染について聞かされていました。「中国の人たちはきれいな空気を求めている」彼らは試しに、ジップロックタイプのビニール袋に地元ロッキー山脈の空気を詰め、インターネットオークションサイト「eBay」に99セントで出品。すると、価格はみるみる跳ね上がり、ついには168ドルの高値がついたそう。

コンテナ到着前に
全品完売の人気ぶり

これはビッグビジネスになる…。

彼らがそう思ったかどうかは分かりませんが、かくして二人はロッキー山脈の新鮮な空気を圧縮して缶入りする技術を開発。試しに北京市内で500個を販売してみたところ、わずか4日で完売。そうして、Lam氏は「The Telegraph」を取材を受けるほどに。慌てて追加で4,000個を発注したものの、こちらもまだコンテナが中国に到着していないにもかかわらず、すでに完売する人気ぶりなんだとか。

Licensed material used with permission by Vitality Air
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。