「肉食を止めれば、地球は救われる。」シュワルツェネッガーの発言が話題を呼んでる・・・
アクション俳優として、また元カリフォルニア州知事としての顔を持つアーノルド・シュワルツェネッガー。2015年12月、パリで開催された気候変動会議の場に招かれた彼は、インタビューで「肉食を止めれば、地球は救われる」と発言した、と海外各紙が報じています。
実は彼、「20世紀最高のボディビルダー」と讃えられた人物。それだけに、このコメントが与える影響は大きなものでした。
「地球のために肉食を止めよう」
くだんの発言は、「BBC」の環境問題解説員ロジャー・ハービンとのインタビューでの一幕。まずは、その内容をご紹介。
「現在、毎年7万人の人々が地球温暖化による影響で命を落としています。この現状に、ただ手をこまねいている訳にはいきません。政府には人々を守るための責任があります。我々だって、行動を起こさなければなりません。温室効果ガスの28%は、畜産によるもの。私たちが肉を食べるために、牛や豚を飼育していることにも原因があるんです。もっと賢い対策が打てるはず。
今すぐベジタリアンになれと言ったって、すべての人が聞き入れてくれるわけじゃありません。だけど、週に1日、2日だったら賛同してくれる人も多いはずです。大きなチャレンジでしょう。でも、それをやっていかなければ。
幸いなことに、私たちはいろんな方法でタンパク源を摂取できることを知っています。野菜からも、タンパク質は摂れる。ベジタリアンだけど、健康的な生活を実践するボディビルダーの友だちだっています」
この発言を受けて、海外のメディアは一斉に、シュワルツェネッガー氏がベジタリアン推奨宣言をしたと鋭く報じました。
「『この星を救うために、パートタイム・ベジタリアンを始めよう』アーノルド・シュワルツェネッガー」(BBC)
「肉食を減らせば環境破壊を止められる、と主張するセレブにシュワルツェネッガーが仲間入り」(Fox News)
「肉食を減らせば地球は救われるとシュワルツェネッガーが語った」(AOL)
「『肉を食べるのは週に1食か2食に』シュワルツェネッガーが言及」(Meat Free Monday)
今さらですが、同氏は俳優転身前、ボディビルの最高峰と言われる「オリンピア」で、7回の優勝を誇った伝説的存在でした。当然、鋼の肉体を維持するため、肉食を続けてきたであろう同氏のコメントだけに、世論の反響が大きかったというワケ。
彼が肉食を問題視した理由である、温室効果ガスの排出量に注目してみましょう。
国際連合食糧農業機構(FAO)によると、温室効果ガスの排出量のうち、人為的メタン排出の約3割近くが、畜産業に起因していると発表しています。特に牛の排泄物には、多くのメタンガスが含まれ、彼らから排出されるゲップ(一日に100〜200リットルと言われている)が問題だそう。牛のゲップには、CO2の21倍とも言われている強い温暖化効果があるだけに、深刻な問題と認識されています。
つまり、肉食(なかでも牛肉)を減らし、生産量全体が減ることで、一部ではあるものの温室効果ガスの排出を抑えられるということ。英レディング大学のEllie Highwoo気候物理学教授は、「野菜中心の食生活にすることで炭素排出量を大幅に削減できる」と菜食主義を提唱。多くの人から、温暖化の歯止めとして「肉食を控えるべき」との声が高まりつつあります。
Arnold @Schwarzenegger: Stop eating meat and save the planet (via @BBCNews) https://t.co/mR2bhIBeUY pic.twitter.com/vUWrZZAoUw
— richroll (@richroll) 2015, 12月 8
いささか、メディアの反響にうがった見方があるのも事実。とは言え、元ボディビルダーとして彼の偉大な功績を知る市井からは、「ボディビルダーがベジタリアンだと?」「ただの偽善だ」といった具合に、冷笑するコメントが飛び交い、Twitterは一時この話題でもちきりとなったようです。
カリフォルニア州知事として、2期7年。財政再建の失敗から、ロサンゼルス・タイムズ紙に「失われた7年」と断じられたシュワルツェネッガー。それでも、環境分野での実績は高く評価されています。その彼の心に「LESS MEAT=LESS HEAT(肉を減らせば温度も下がる)」とのメッセージが響いていたことは、想像に難くありません。
しかし、その肩書ゆえか、発言以上に大きなインパクトを世に与えることになりました。