「何も見ないで自転車を描いて」。イラストをCG化してみると、想像の斜め上をいくデザインだった
ここに紹介する自転車は、どれも斬新なフォルムが目を引くものばかり。街乗り、フィールド仕様のコンセプトモデルかと思いきや、よく見ればどこかヘン。サドルがフレームに固定されていたり、チェーンが前輪についていたり、あってはいけないカタチばかりだ。
記憶を頼りに描いたら
“自転車”がトンデモないことに
たとえば、こちらの自転車。タウンユースに最適そうなシンプルなデザインだが、どこか違和感を感じないだろうか?そう、ペダルがない。チェーンもない。つまり、これじゃ乗れないし自転車として成立していない。
どうしてこんなデザインが生まれたかといえば…じつはこれ、19歳の学生Leonardoさんが記憶を頼りに描いた、ざっくり自転車のイメージをカタチにしたものだから。以下が彼のラフスケッチ。どう、そっくりそのままでしょ?
もしも、あなたが突然、「何も見ないで自転車描いてくれる?」いきなりこうムチャぶりされたとしたら、はたしてLeonardoさんを嘲笑うことができるだろうか?毎日目にし、乗ってはいても、それを実際絵に描くとなるとディテールの記憶なんて、いかに曖昧なものだろう。
どこか「ヘン」な自転車曖昧な記憶をカタチにしました
これは、イタリア系アメリカ人デザイナーGianluca Giminiさんによるアートプロジェクト。「何も見ないで自転車を描いてくれるかい?」、親しい友人だけでなく見ず知らずの人にもお願いし、彼は約6年間かけて376枚のイラストを集めた。年齢は3歳から88歳、絵心のある人も中にはいたようだが、「完璧な自転車」と呼ぶにはどこか足りない、曖昧なモノがほとんどだったとか。
ところが、そのざっくり、中途半端な自転車たちをCG化してみると、どれもじつに愛嬌があって面白い。以下に、元のイラストと対比させてご紹介。個性的な自転車がズラリ。機能うんぬんは別として、結構イケてる!
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一見、フレームと前後の泥除けを一体化させた構造に斬新さを感じるRovellaさんの自転車。ところが…よく見ればチェーンが前輪に。Giminiさん曰く、女性の9割近くが、チェーンを前輪に繋げて描いていたそう。曲がるという認識がない?
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マウンテンバイクの堅牢なイメージを、極太のタイヤが表しているAlessandroさんのバイク。ところが、よく見てみればチェーンが前にも後ろにも!?
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逆にこちらは、競技用ロードバイクを描いたLeeさん。タイヤからスポークを廃したあたり、スピード感たっぷり。だが、上のCGをよく見れば、複雑なフレーム構成が仇となり前輪が曲がれない仕様に(笑)。速さのみを追求したデザイン?
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Fiorenzaさんの“ざっくり”すぎるイメージを、どうにかデザインに落とし込んだ感じ。
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この中では、最も自転車に近いフォルムを描いたのがFedericoさん。このフレームで耐久性さえ問題なければ、市販されてもおかしくないレベル…に思えてしまうほど、個性豊かなデザインの数々。
それにしても、自転車って描いてみるとこんなにも曖昧なもの?