出土した5,000年前の給料明細、調べてみたら給料がビール!?
雇用者が毎月手にしている給料明細。マス目に従って数字が羅列しているだけの、あの四角四面の紙、その最古と呼べるものの画像が大英博物館から発表されました。落書きのようで全く読めないけど、なにやら「労働の後の一杯」と密接な関係が。
くさび形文字で記された
労働者ごとのビール報酬
出土場所は、現在のイラクに位置するメソポタミア文明の古代都市ウルク(Uruk)。大英博物館が所蔵する粘土板を写したものがこの写真です。細かなマス目にビシッと書かれている(描かれている)のは、「くさび形文字」だそう。
大英博物館学芸員Irving Finkel氏のコメントを掲載した「BBC」の記事によると、逆三角形の円錐に見えるのがどうやらビールの入ったかめを意味し、雇用者それぞれにどれだけビールを労働の対価として支給していたかを表しているのではないか。とのこと。くさび形を主に用いていたのは、紀元前3,000年ごろのシュメール人やバビロニア人。その一枚が土の中に埋もれ、ほとんど無傷で発見されたのはまさに奇跡、とIrving氏。
そのこと自体も驚きですが、5,000年も前(お金もまだない時代)に、奴隷という観点ではなく、すでに雇用関係が成立していたことにもびっくりさせられます。
仕事終わりのビールがうまいには、理由があった!?
今の世ならありえない給料体系ですが、こうしたビールによる対価報酬がじつは珍しいことではない、と「Smithonian.com」で考古学者のPatrick McGovern博士が指摘します。曰く、古代エジプトでもピラミッド建造に携わった労働者たちは、対価としてい1日に約4〜5リットルのビールが支払われていたんだそう。かなりの量ですが、当時のビールはデンプンが多く含まれたもので栄養価も高いものだったとか。
もちろん、お金が誕生する前の話だけど、仕事終わりに飲む1杯のビールのおいしさって、まさかこういうところから来てたりして。