「ポケモンGO」が伝えるシリアの子どもたちの今。「僕はここにいるよ」
ローンチ以来、世界中で熱狂の渦を巻き起こし社会現象化しつつある「ポケモンGO」。その人気は内戦の続くシリアでも。けれど、この国でのプレイの目的は、よその国とは少々勝手が違うようです。
「誰か、助けにきて!」
ポケモンの絵を手にする子どもたち
シリア反体制派の活動団体「シリア革命軍・メディアオフィス(RFS)」が、2016年7月22日にTwitterを使い発信したのは、ポケモンのキャラクターたちが描かれた絵を手にする子どもたちの写真。そこにはこうメッセージが記されていました。
「僕はイドリブ県のカフルナブルにいます。誰か助けにきて!」
私たちはここにいる──、人気スマホゲームを引き合いに、シリアにも捕まえて欲しい命がたくさんあることを訴えかけるメッセージ。ポケモンの絵を手にした子どもたちの写真は、今日までにSNSを介して多くの人が共有しています。
いまだ解決の糸口が見えない内戦が、すでに5年以上続くシリア。けれど、改めて世界の関心を向けることは難しい。そんな状況を変えようと「ポケモンGO」人気を逆利用したメッセージングに人々が共感した、と「BBC」は分析しています。
ポケモンGO人気の力で
シリアの惨劇を世界に伝えたい
また、シリア国外のアーティストたちも、ポケモンを使ってシリアの現状を知ってもらおうという動きが活発に。
たとえば、現在デンマークを拠点に活躍するグラフィックデザイナーSaif Aldeen Tahhanさん(自身もシリアからの難民)は、「Syria GO」と題した架空のゲーム画像をネット上に公開。医薬品や勉強道具といった、シリアが今必要としている物資をゲットしていくという内容です。
以下に紹介するのは、Khaked Akilさんの作品「Pokemon Go in Syria - Part 1」。自身の故郷アレッポの変わり果てた街並みの中に合成させたポケモンたちが、紛争の現実をよりリアルに訴えかけてきます。
「世界中でポケモンGOが空前のブームとなっていることは、ウェブやニュースで見て知っています。ゲームアプリに世界が熱狂する現実と、シリアの人々、子どもたちが置かれている目を閉じたくなるような現実。二つが同列で語られている。この矛盾にいてもたってもいられなかったとき、作品のアイデアを思いつきました」。
「Al Jazeera」にこう想いを語ったAkilさんと想いを同じくするアーティストが、ひとりまたひとりと、ポケモンGOの酔狂ぶりを逆手に取った作品で訴えかける。投稿の目的はひとつ、シリアで今起きていることに光をあて、世界の関心を集めること。
内戦の続くシリアでは、瓦礫の下や銃を手にした兵士の横にモンスターたちが現れる。AR(拡張現実)と現実の境界線を痛烈に印象づけるアクションに、どんな感想を持ちましたか?