あえて「電波ゼロ」の圏外にレストランを開いてみたら、人と人とがつながった

いつ、どこでも、つながれる、それが今の時代のキーワード。たとえ、それが食事中であったとしても。だから、それが家族との食事であれ、仕事上の会食であれ、友人との飲みの席であれ、携帯の電波が悪いお店はなんとなくマイナス。こんな評価を下したことがあるのでは。

では、もしもスマホが全くつながらない場所にレストランがあったとしたら…。これは、アメリカのカトラリーメーカーが企画制作した実験動画です。

ヒルサイド、洞穴、地下の貸金庫
「圏外レストラン」に長蛇の列

この夏、3日間限定でオープンした3つのレストラン。名付けて「Dixie Deadzone Diners」のコンセプトは、Great Food, No Service。もちろん、ここで言うところのサービスとは携帯の電波のこと。携帯やスマホの電源をお客に切ってもらうのではなく、電波の届かない場所(レストラン)にお客を招くことが目的です。

そのためスタッフはLA中をくまなく廻り、専用の受信機を使って電波が1本も届かない圏外エリアを足で検索。こうして3か所が選ばれました。例えば、サンタモニカ近郊のヒルサイド、ハリウッド郊外にある洞穴の内部、そしてダウンタウンの銀行の地下にある貸金庫。

いづれの店もたったひとつ、ある決まりごとがありました。それが「Put down your phone and Pick up where you left off.(スマホを置いて、これまで手放していたものを見つけよう)」。まあ、どのみち元から圏外になる場所ばかりですけどね。

おいしい料理も話題性も
SNS投稿すべてゼロ

3日間でのべ1000人以上が訪れたレストランでは、特別なメニューが提供され、その場で初めて出会ったお客同士が共通の話題で盛り上がり、目と目を合わせたコミュニケーションが行われたそうです。

では、どんな料理が提供されたか。それもこれも、すべてこの場に足を運んだ人たちだけのとっておきの秘密です。なぜってスマホの届かないレストランですから、当然ツイートも、写真をアップしてのInstagram投稿も、いいねだってみんなゼロだった、というのがこの話のオチ。

「あえて電波の届かない場所を選ぶ」、という選択肢。日常の中でも、ときにこうした“デッドゾーン”に意識を向けることが必要なのかもしれませんね。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。