コンパクトな「折りたたみ式カヌー」は折り紙をヒントにつくられたもの
カヌーやカヤックといった水辺のレジャーツールには、サイズや保管場所の問題が常にありました。でも、フォールディングタイプの登場で、こうした問題が徐々に解消。なかでも、この折りたたみ式カヌー「そんなにたたんで大丈夫?」と、逆に心配になっちゃうほどコンパクトなんです。
バラしてたたんで
キャスターで移動できるカヌー
この写真だけ見れば、大道芸のパフォーマーか、ミュージシャンか。キャスターをゴロゴロ引きながら、まさか彼がこれから運河をカヌーで下ろうとは、なかなか想像もつかないはずです。何が言いたいかって、アウトドア感ゼロ。でも、彼がキャスターで引いているものこそカヌーそのものなんです。
組み立てに不慣れな人でもかかる時間は、おおよそ10分。
船体を形成させている黒いストラップを緩めれば、カヌーはただの一枚のシートに。今度はこれを左右から内側にパタパタ折り込んでいき、最後は付属のキャスターに乗せるだけ。パドルや細かなパーツはすべて内側に入れてしまえば、基本このキャスター1台だけ持ってさえ行けば、どこへでもカヌーを連れて遊びに出かけられるという具合です。
折り紙の船のイメージをカタチに再現
材質はタッパーやクリアケースなどに使われる、ポリプロピレンをベースに独自に開発したハニカム構造の 「Curv™」。パタパタと折り込んでも割れたり傷がつかず、万一パドリングの最中、岩場に激突しても水が漏れてこないだけの強度がある、とこのカヌー「ONAK」の開発メーカーは強調します。
そもそも、折りたたんで持ち運びできるカヌーは、日本の「折り紙」から発想を得たと開発者(Otto Van De Steeneさんとhomas Weynさん)。折り紙の船を数百通りも形作り、そこから15のプロトタイプを実際に人が乗る大きさでつくり、水上で浮力実験をしたそうですよ。
コンパクトにたためるだけでなく、折り目(山折り、谷折り)通りに何度でも形成できるインスピレーションが、折り紙から来ているなんて、ちょっと親近感が湧いてしまいますよね。
キャスター付きだから電車でも持ち運びOK
それこそ、スーツケースをガラガラと引っぱる感覚で電車に乗せて移動したり、行きは電車、帰りはカヌーを組み立て、のんびり運河や川を下って帰ってくる。本格アウトドア仕様というよりかは、優雅な街乗り感覚で水辺のレジャーを楽しむ人向けのONAK。
そもそも、オランダに隣接するベルギー北部も運河が市内をめぐる街が多く、そういった地理的背景も、移動も楽々、フォールディングタイプのカヌー開発に影響しているんでしょうね。
ちなみにカヌー自体の全長は485センチ、幅85センチですが、折りたためば120センチ × 40センチにまで小さくなり、重さも17キロと女性でもらくらく運べるうれしい仕様。
すでにクラウドファンディングで潤沢な資金を手にし、クッション材やパーツのアップグレードも叶ったよう。サイトでは、1セット1,295ユーロ(約14万7,000円)で注文を受け付けており、世界どこへでも発送してくれるようですよ。
車の屋根に逆さに積むほどのカヌーイストではないにせよ、荷台に積んでさえおけば、水辺のレジャーもいっそう盛り上がること間違いなし!