「新聞紙」で作られた、いまにも動き出しそうな動物たち
これらのオブジェは、すべて古新聞や古紙で作られている。そう言われても、にわかには信じがたいほど、立体的で重厚感のある動物たち。いま、日本人アーティストの作品に世界が注目しています。
こよりを積み上げ、
命を吹き込む
Gorilla’s mum, 2011, (C)Hitotsuyama Studio
独特の立体感を生み出しているのは、こよりを幾重にも積み上げていく独特な技法。しかも大きさは実物大スケールというから驚きです。
Tears of Walrus, 2012, installation view at MOAH:Cedar 2016 (USA), (C)Hitotsuyama Studio
作品の生みの親は、製紙産業の町として知られる静岡県富士市出身の一ツ山チエさん。こよりの集積によって生み出される線の美しさと表情豊かでユーモラスな描写が特徴。2011年の創作開始以降、活躍の場は徐々に拡大し、いまでは海外でも個展を開催するなど勢力的に活動を続けています。
Kami no komoriuta: baby chimpanzee, 2013, (C)Hitotsuyama Studio
きっかけは、
アフリカで出会ったサイ
Cries and Songs from your heart are still heard today, 2011, (C)Hitotsuyama Studio
最初に作った作品は、こちらのサイ。2007年に訪れたザンビアの国立公園で出会った1頭がモデルになっています。現地ガイドから密猟に苦しめられているという説明を聞き、深く印象に残ったのがこの表情だそう。
Kami no komoriuta: red wolf, 2013, (C)Hitotsuyama Studio
よく考えてみると、モデルの多くは、犬や猫などの身近な動物ではなく絶滅危惧種であることに気づきますね。
A journey to the ocean: dugong, 2014, installation view at Funabashi Andersen Park Children’s Museum (Japan), (C)Hitotsuyama Studio
A journey to the ocean: sea turtle, 2014, installation view at Funabashi Andersen Park Children’s Museum (Japan), (C)Hitotsuyama Studio
以下の動画には、作品のアップや制作の様子が収められています。その途方もない緻密さに、間違いなく驚かされるはず。
(C)Ayako Hoshino