もう誰かのせいにしない。「自分の人生」を生きるための4つの習慣
「今から10年前、26歳の私は『人生のどん底期』にいました」
そう語る安藤美冬さんは、大手出版社に新卒入社したあと、人間関係や仕事につまずき、ストレスから体を壊してしまい、社会人3年目には心療内科で「抑うつ症」と診断され、休職することになりました。
それからネガティブな気持ちを発散すべく、高価な洋服やバッグを買っては散財し、「結婚しよう」と言っていた恋人にも去られてしまったと言います。
その後安藤さんは30歳で独立、現在は日本と海外を行き来しながら、著書の出版や講演など、さまざまな仕事で活躍しています。一体「人生のどん底期」からどのようにして立ち直ったのか。その秘密を語った著書『何をやっても長続きしない人の「行動力」の育て方 自分を変える7+1の習慣』から、人生を自分のものにするための4つの習慣を紹介します。
01.「とりあえず」「一応」曖昧な言葉は使わない
今のあなたは、どれくらい主体的に行動できていると思いますか?
それを簡単にチェックする方法があります。日頃「とりあえず」「一応」といった言葉をよく使っていないか、気をつけてみましょう。こうした曖昧な言葉を多用していたら要注意。こうした言葉が口をついて出てきているうちは、本気を出して自分から物事にあたることはできません。
かくいう私こそが、「とりあえず」「一応」ばかり言っている人間でした。会社員時代、会議に提出する資料を作成していたときもそうです。時間をかけて、競合となる他者の情報もリサーチしておけばよりよくなるはずの企画も、「時間がない」「調べ方がわからない」と言い訳をして、「一応、企画書の形にはなったし、これでいいか」と片付けたことにしていました。結局のところ、当時の私は何事にも本気になれておらず、中途半端だったのです。
私がこうした習慣から卒業できたのは、友人や家族、パートナーの助けを借りたからです。自分で気をつけるだけでなく、ついつい曖昧な言葉を発してしまっていないかどうか、チェックしてもらうのです。
口にする言葉が変わってくれば、意識や行動も変わってきます。無意識に「とりあえず」「一応」と口にしていると、その通りの行動を積み重ねて、人生までそうなってしまいます。「とりあえず」「一応」の人生。そんな人生を歩みたいと思いますか?
02.小さな一歩で「ぐずぐずスイッチ」を
オフにする
オフにする
普段はピンときたらすぐにアクションを起こす行動派の私ですが、ときどき悩みに悩んで一歩も動けなくなることがあります。特に苦手なことが目の前にあると、そんな「ぐずぐずスイッチ」がオンになってしまい、なかなか行動できなくなってしまいます。
この「ぐずぐずスイッチ」が最も悪い方向に働いたのは、30歳になって会社を退職し、フリーランスとして独立したばかりのときでした。
退社してからしばらくは有給休暇気分でのんびりしていたのですが、何の当てもなく独立したので、当然すぐに仕事があるわけではありません。退職金も含めてそれなりにあった銀行の口座残額がみるみる減っていくのを見ながら、「私、これからどうなっちゃうんだろう」と不安でたまらなくなりました。
それでも自分はどんなことがやりたいのか、何になりたいのかがわからず、せっかくのチャンスやオファーも見送る日々が続きました。
そんな私を見兼ねて、会社員時代からお世話になっていた、エリエス・ブック・コンサルティングの土井英司さんが、こんなアドバイスをくれたのです。
「悩んでばかりいないで、まずは動いてみなきゃ。そうしなければ、状況は何も変わらないよ」
この言葉を聞いたとき、ハッとしました。その通りだと思いました。まず手足を動かしてみて、行き詰まったら頭で対策を練ればいい。不安や悩みが大きいほど、それは新しい自分に出会うチャンスだと前向きに捉えて、とにかく一歩を踏み出していくようになりました。
一歩一歩は小さくても、行動を積み重ねれば、やがてそれが自信になっていくのです。
03.1日5分の「感情日記」でネガティブな気持ちをデトックス
そこでおすすめなのが、「感情日記」をつけることです。これは簡単にいうと、「自分の心を見つめて、その日に感じた感情を素直に書く」という日記です。
「感情日記」の大事な役割は、ネガティブな感情をしっかりと自覚できる点です。怒り、イライラ、悲しみ、嫉妬……こうした感情に無理やり蓋をすればするほど、ストレスはむしろ大きくなっていってしまいます。人に見せるものではないので、自分の気持ちにきちんと向き合って、正直に書くようにしましょう。
私は会社を休職してから約3年間、毎日この「感情日記」を書き続けました。すると自然と、日常的に感じていたストレスが私から離れていきました。
たったの5分、行数にすれば3行程度で構いません。その代わり、できるだけ毎日続けてください。ひとりで日記に向かって感情を整理することが習慣になれば、多少のことが起きてもドンと構えていられるようになります。
なお、「感情日記」は何度も読み返してください。毎日ちょっと前のページを読み返してみたり、数ヶ月前の書き込みをチェックしてみると、改めて自分の成長を実感できるでしょう。
04.スマホやネットを切ってマイペースを取り戻す
「SNS疲れ」という言葉を聞いたことはないでしょうか? 表面的なコミュニケーションに嫌気が差したり、転職や独立、結婚や出産など、周囲の人の幸せそうな様子を見て、自分と比較して落ち込んでしまったりして、心身が疲れてしまうことを指す言葉です。
私は一時、世界一周船「ピースボート」に乗船していました。乗船客の皆さんに講演をする水先案内人の仕事のために、3週間海外を航行しながら船上生活を送りました。
衛星回線を使えばネットが繋がらないわけではなかったのですが、天候や海域、時間帯によっては不安定で、それなりの料金もかかります。したがって、ネットの利用はメールチェックや原稿の送付などの仕事に限定され、SNSを見る機会は激減したのです。
確かに不便ではありましたが、それを上回るメリットがありました。それは「自分のペースを取り戻せた」という実感です。
それ以来、マイペースが崩れそうだなと思ったときは、進んでオフライン環境をつくるようにしています。たとえば、あるときは仕事に集中したい午前中だけ、スマホの電源を切ったり、データ通信をオフにして電話機能だけを残すなどの工夫をしています。
ネットを介して人や社会に常時接続されていると、自分を見失いがちになってしまいます。自分のペースが乱れているように感じるとき、心がくたくたになっているとき、ぜひ試してみてください。
大手出版社を退社後、フリーランスとして国内外を飛び回りながら活躍中の安藤美冬さんが、『7つの習慣』を読み、実践していることを「行動習慣」としてまとめた一冊。【著者】1980年生まれ、フリーランサー。慶應義塾大学在学中にアムステルダム大学に交換派遣留学。卒業後、集英社を経て独立。ソーシャルメディアでの発信を駆使し、肩書や専門領域にとらわれずに多種多様な仕事を手がける独自のノマドワーク&ライフスタイルを実践中。これまで世界54ヶ国を旅した経験を生かし、海外取材、内閣府「世界青年の船」ファシリテーター、ピースボート水先案内人なども行う。白木夏子さんと行っている会員制コミュニティ『安藤美冬×白木夏子オンラインサロン Wonderland」も人気。