このスニーカーは、海とどう向き合うかを教えてくれる

軽さや機能、デザインを追求するばかりがスニーカーじゃない。まったく新しいコンセプトでアディダスが開発を続けてきたフットウェアが、いよいよ一般ユーザー向けに発売される。海のゴミから生まれたスニーカー「UltraBOOST Uncaged Parley」。

海をただよう
ゴミから生まれたスニーカー

 環境に配慮した衣料品にリサイクル素材を使用するアパレルブランドは増えている。だが、それをスニーカーで実現したのは、同ブランドが初めて。

海洋環境保全に取り組む「Parley for the Oceans」とのパートナーシップをきっかけに、海洋プラスチックごみ問題を自社の製品へと転換させるチャレンジを続けてきた。 

それがいわゆる環境問題に訴えかけ、コンセプト商品の発表で終わってしまうケースは多い。でも、アディダスのビジョンはもっと先にあったんじゃないだろうか。プロダクトとしても、企業のメッセージとしても、きちんとエンドユーザーに届ける、といったような。 

 アッパー部分に使用されている繊維のうち、5%はリサイクルされたポリエステル製、残りの95%に使われているのが、モルディブ海域をただよう海洋プラスチックごみ。

その大半はペットボトルだ。海から回収した11本分がこの一足に取って代わる。さらにはソールを含むほとんどのマテリアルにもリサイクル素材を用いている。

2017年末までに
100万足を生産予定

 リリースによると、まずは今月中旬から米国の店舗とオンラインストアにて7,000足が先行販売されるという。さらに、2017年末までに100万足の製造を予定している。100万足ができあがったとき、海からおよそ1,100万本のペットボトルが姿を消す計算だ。

日本での販売がないということだけが残念でならないが、参考価格として、日本円にして一足2万3,000円ほど(詳細は公式サイトへ)。

それでも、ゴミは増え続ける

世界経済フォーラムは、全世界で毎年800万トン近いプラスチックゴミが海に流出していると推定している。このままいくと2050年には、魚の数よりもただようゴミの量のほうが多くなるという試算も。

「ひとりの人間の力では、この海の問題を解決なんてできない。一人ひとりの役割がちゃんとあるんだ」。

Parley for the Oceans創立者Cyrill Gutschの言葉に、デザインや機能性だけでない、第3の選択肢として、このシューズを手にしたくなった。

Licensed material used with permission by adidas Corporate Comunications
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。