アナタは、自分の睡眠の価値を認識していますか?

睡眠不足が心と体にもたらす悪影響や、個人のポテンシャル低下は、今さら改めて書くまでもないはず。けれどその個人の睡眠不足がトリガーとなり、ひいてはそれが経済における“社会悪”となる、こんな分析結果を紹介したい。

なんでも日本の経済的損失はかなり大きく、この国の明暗を労働者一人ひとりの睡眠が握っていると言ってもおかしくないほどだとか。

“睡眠”は金なり。

この調査はイギリスの非営利団体「RAND Europe」とケンブリッジ大学が協力し、英国内の優良企業に対して調査を実施、分析とリサーチを行ったもの。同団体のクライアントは、おもにヨーロッパの公共施設、政府、大学、民間企業などだという。

今回の調査では、なぜ眠りが大切なのかを、睡眠不足による経済的損失面から紐解いていくため、イギリスのほかにアメリカ、ドイツ、カナダそして日本の5カ国で比較。各国における被雇用者の睡眠時間、職場でのパフォーマンス、さらには、それらがもたらす経済的影響の予測を膨大なデータから定量したという。

ひとりの睡眠不足が生産性低下をまねき、それがいかにして国民経済に影響を及ぼすかが結論づけられたこの調査。これが本当に数字通りに影響しているとしたら、明日からの生活習慣を見直す必要があるかも、と本気で思えてしまう。

では、その中身を詳しく見ていこう。

蓄積される日本人、一人ひとりの寝不足

健康への影響から。

ベースとなるのは、VitalityHealth社が実施した英国国内の職場環境調査。夜間の睡眠が平均6時間以下の人は、7〜9時間眠る人に比べて死亡率のリスクが約13%高く、6〜7時間眠る人は死亡率リスクが約7%高いというデータがある。そこから導き出した7〜9時間の睡眠が、日々の健康的な睡眠量というのは、広く言われているところで納得だろう。

RAND Europeによる5カ国調査では、日本は労働人口(*)ベースで考えたとき、総計年間60万日を超える労働時間を睡眠不足のために失っていることが判明した。寝不足が原因となり、職場での生産低下は被雇用者が職場にいない状態(欠勤)、もしくは職場にいても最適以下のレベルでしか働けていない疾病就業、これらの組み合わせが大きな損失を招く原因なんだそう。

*労働人口とは、15歳以上で労働する能力と意思をもつ人の数。総務省統計局の労働力調査(2016年12月分)によると、日本の就業者数はおよそ6,466万人。

国内GDPの約3%が睡眠不足により損失

この睡眠不足がもたらす体調不良、やる気の低下、作業効率ダウンは、積もり積もって日本経済に大きな損失を生んでいた。その数、年間で最高約1,380億ドル。国内GDPのじつに2.92%にあたる数字。

ちなみに調査結果から、被雇用者の中心を担う世代の睡眠時間が6時間以下から、もう数時間プラスして6〜7時間に増やすだけで、日本経済に7,57億ドルの追加が見込めるという試算も。これを鵜呑みにするわけではないが、このわずか数時間の睡眠の差で、これだけ数字に開きが出ると聞かされると、驚かないわけにはいかない。

調査を指揮したRAND Europeの研究指導員Marco Hafnerは、睡眠不足が健康だけでなく、国民経済に多大な影響を与える事実に注目するよう呼びかけている。

「つまり個人の睡眠習慣と睡眠時間の改善は、非常に大きな意味があるのです。私たちの調査が示すように、単純な変化が大きな違いにつながるということです」

ところで、他の国々はどうだったのか。各国ともに損失はあるものの、損失額で約4,110億ドルと大きかったアメリカを除いては日本よりもはるかにマシな数字。

アメリカ:
GDPの2.28%
損失額約4,110億ドル
労働時間損失約120万日


ドイツ:
GDPの1.56%
損失額約600億ドル
労働時間損失約20万日


イギリス:
GDPの1.86%
損失額約500億ドル
労働時間損失約20万日


カナダ:
GDPの1.35%
損失額約214億ドル
労働時間損失約8万日

睡眠時間を割いてまで…は、結局のところ“高くつく”というんだとしたら、あまりにもやるせない。けれどこれも事実、か。

Licensed material used with permission by RAND Europe
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