お台場で、革新的な花火を。「STAR ISLAND」本当の狙いとは?(小橋賢児×小林玄)
「見にいくんじゃなくて、入り込む」
「400年も変わってなかった花火をアップデートする」
「お台場からの美しさ。日常にある奇跡に気づいて欲しい」
「最後には、人の力でしか人を感動させることはできない」
インタビューを進めるほど、当初想像していたものとイメージが変わっていった「STAR ISLAND」の全貌。
世界初!絶景のロケーションで繰り広げられるショーパフォーマンスと、3Dサウンドを駆使した最先端ミュージック花火!
これが、未来型花火エンターテインメントとして5/27(土)にお台場で開催されるイベントのキャッチコピーだが、当然ながらその背景には様々な想いが詰まっていた。
語ってくれたのは、総合プロデューサー小橋賢児と、パフォーマー演出を手がける小林玄。ULTRA JAPANが目指したものとはまったく違う、新たなクリエイティブとはなんだろうか。
「伝統」と言われるものも
最初はイノベイティブだった
ーー いきなり本題ですが、「STAR ISLAND」を始めようと思ったきっかけは何だったんですか?
小橋賢児:ULTRA JAPANを1年目開催したときに、どこかエンディングが締まらない物足りなさを感じていて、2年目からは花火を上げたいなって思っていたんですよね。花火って、本当に一瞬我を忘れて、一体になる感覚があるじゃないですか。
そこで花火師さんを探して繋がりができたんですけど、誇りを持って伝統を重んじてきている人たちと、今の若い子たちをしっかり巻き込んで感動を生んでいくという僕たちの感覚がお互いに共鳴して、なにか新しいカタチを作れたらいいね、となったんです。
世の中には「伝統を守ろう」という風潮ってたくさんあると思うんですけど、僕のなかではずっと「そもそも伝統って、守って終わりでいいのか?」という想いがあって。
伝統こそ、そもそもオリジナルができたときは凄い熱量で出来上がったイノベーションであり、クリエイションだったはずなんです。でも、いつからか“伝統”になり、守られて当然のものになった瞬間から、人は最初の情熱以上の努力をしなくなる。見る側も「きれいだね」で終わってしまって、まるでテレビを何も考えずに見ているときと同じような感覚で、ただ流れているだけになっているのが、すごくもったいないなと。
本当に素晴らしい伝統ならば、今の時代の才能やテクノロジーと繋いで、未来へ紡いでいくことが、本質的な意味での「伝統を残す」ことなんじゃないかな、と思ったんです。
僕たちの力で「花火」を
進化させられるかもしれない
ーー それがたとえば、花火と3Dサウンドやパフォーマンスの組み合わせだったり?
小橋:そうですね。花火師さんと話をしたときに「2012年にあそこでミュージック花火をやったんだけど、そのあとはなかなか出来なくてね…」という話題になって、それを聞いたときに、自分の中でチームがパパパって見えたんですよね。僕たちの感覚で花火を進化させられるかもしれない、と。
たとえば、3Dサウンドのパイオニア、カツくん(katsuyuki seto)。じつは彼に出会う前からけっこうVRを研究していたんですけど、VRって拡張現実ですごいはずなのに、なにか物足りなかったんです。これって何だろうと思ったとき「音」だって気づいて。でもカツくんのスタジオに行ったら、真っ暗闇の中で景色も見えないのに、その3Dサウンドを聞いただけで映像が見えたんです。「音にこだわるべきだな」と思ったきっかけですね。
で、パフォーマンスは玄ちゃん(小林玄)。去年のウルトラでも、パフォーマンスでエコ活動の啓蒙みたいなことをやってもらって、すごく良かったし、プライベートでも仲良し。あと、たまたま海外に行く飛行機の中で『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』っていう壮大なマジックを仕掛けるような映画を見たんですけど、ああいう心理に刺さるような花火ができたらいいな、と思っていたら、すごく共感してくれたんです。
小林玄:伝統がアップデートされていないことへの感覚が、ほぼ同じだったんですよね。彼はULTRAを日本に持ってくることに成功した男ですけど、一方で「日本生まれのコンテンツではないよね」と。世界に誇れるような日本発のエンターテインメントで何ができるか、というところから始まりました。
だから今回も、ファイアーワークスではなく、HANABI(花火)。約400年間アップデートされてない日本の花火を、僕たちの力で進化させたいな、と。
もっと、柔軟に取り入れて
いいと思う
ーー たしかに、これまで小橋さんがやられてきたことも、海外で刺激を受けたものを日本へ、というイメージでした。でも今回は、日本から世界へ。
小橋:日本の「和」って、僕は調和の和だと思うんです。世界のものをいろいろ柔軟に吸収して、それを自分たちでバランスよく調和して、形にする。たとえば80年代のファッションで言うと、藤原ヒロシさんがロンドンに行ってパンクを学んで、ニューヨークにも寄ってヒップポップを学んで帰ってくる、とか。パンクファッションにアディダスのスニーカーなんて、世界から見たら「お前、超クールだな。誰も合わせたことなかったよ」って。そういうのが日本人の良さなんじゃないかな。
少し前までの日本人って、世界のものをたくさん柔軟に取り入れてきたはずなんです。取り入れて、自分たちだったらどうするかって考えて作ったものが、極東の端っこの島国にも関わらず、世界から「すげぇ!」って言われるようになった。
でも、いつからか自分たちのものになった瞬間に、世界をライバル視して「日本発信の」って繰り返してるのが、なんか違うなって思っていて。日本人こそ柔軟性があるんだから、もっと素直にミーハーに取り入れればいいのにって。
だから僕はけっこう世界を見て発信することに対しても貪欲だし、学んで、今度は自分たちだったらどうするのかを考えて、アウトプットしていくことなんだと思う。それがちょうどULTRA JAPANを3年やって、世界の人たちと仕事して、世界の基準やエンターテインメントを知った中で、日本の仲間たちとどうやったらいいものをつくれるか、って考えたのが、今回の「STAR ISLAND」ですね。
日常にある「奇跡」に
もっと気づいてほしい
ーー お台場はこういった「花火」や「音楽」を使ったイベントをするのに、なかなかハードルが高いと思いますが、開催場所へのこだわりは?
小橋:ULTRAもそうなんですけど、場所へのこだわりはめちゃくちゃあって、僕はやっぱり興味がない人に体験してもらうってことが一番大事かな、と思っているんです。それにはまず、場所が近くなきゃいけない。遠かったら、好きな人しか行かないんですよ。今回のイベントにしても、もちろんあの世界観が好きな人たちにもインパクトを与えられると思うんですけど…。でも、興味のない人たちに触れてもらうっていうことは、ものすごくピュアなわけじゃないですか。もしかしたら、その人たちの人生を変える大きなきっかけになるかもしれない。だからこそ、友だちに誘われて行けるレベル、行っても許せるレベルじゃないといけない。
ちょっとお台場だったら行こうぜ、おもしろそうだから。
えー、分かった。めんどくさいけど行くわ。
でも、行ってみたら超すげー!
ってね。
あと、海外で見る花火って、すごく派手じゃないですか。日本の花火は美しいし一番すごいって言われているけど、どうしても派手には見えないんです。その理由を花火師さんに聞いたら、やっぱりロケーションなんですよ。海外だと、ありえないところでやってるんです。ビル街から火花立てたり、バンバン花火を打ち上げたり。日本だったら絶対にできない。ほとんどが河川敷とか、背景がないところですよね。
でも、お台場のあそこは唯一、東京の摩天楼がすべて見渡せるんです。レインボーブリッジ、東京タワー、東京の街。ああいうロケーションでの花火って、なかなかないんですよ。
あと、お台場って昔はすごくイケてたイメージがあったんですけど、今はファミリー向けというか、どうしてもダサいイメージがあって…。過去のものがただ古いものになって見捨てられるのって、良くないですよね。地方創生ももちろん大事ですけど、やっぱり都市が元気じゃないと地方も元気になれないと思っているので。いかにその都市の機能を活かせるか、っていうことを考えています。そうなったときに、本当に自分たちが持ってる都市のいい部分を、いつの間にか忘れてるんじゃないかと。
ULTRAをやっていて思うのは、やっぱりお台場の価値ってすごくて。あそこから見る東京の景色ってめちゃくちゃ美しいのに、意外と感度の高い、おもしろい人たちほど、その景色をちゃんと見たことがない。これが情報の怖さですよね。みんな「知ってる知ってる」って。行ったことのないラーメン屋さんでも、行った気になる、見た気になる、分かった気になっちゃう。
実際にその場所で異空間を作って、そこで見る「東京」には、驚くと思いますよ。
「うわ、自分たちは本当にすごいところに住んでるんだな」って。
僕、1年の半分ぐらいは海外に行くんですよ。要は海外って異空間じゃないですか。異空間から戻ってくると、やっぱり東京って美しいなって思うんです。僕らがやりたいのは、イベントっていう異空間、異次元の世界を作ることによって、そこから離れたときに「自分たち、すごい場所に住んでるんだな」とか、もっと言うと「自分たちの住んでる地球って素晴らしいな、宇宙って素晴らしいな」って気づくこと。そこに僕たちのやる意味があると思っているんです。
その経験をしたあとの人生の答えは人それぞれだけど、どういうきっかけを与えたらいいかって言ったら、先生みたいに答えを上から叩きつけるよりは、ファーストインプレッションはできるだけ近いほうがいいし、行きやすい場所がいい。そして分かりやすいほうがいい。
小林:花火だけを考えたら、真っ暗な田舎町のほうが条件はいいんです。後ろが黒いキャンパスのほうが綺麗に見えるから。なのにお台場でやる意味っていうのは、本当は花火なんか上げなくたって、パフォーマンスなんかしなくたって、奇跡みたいな日常が溢れている。でもそれが当たり前になって、みんな忘れちゃってる。「STAR ISLAND」を通して非日常を見せることで一回高揚させるけど、それが終わったあと、おそらくお台場の景色がいつもと違って見えるはずなんです。そうすると、自分はすごい地球に生きてるんだな、っていう感覚になってくれるんじゃないかな。
クリエイティブは妥協の連続
だから愛着が湧くこともある
ーー 「STAR ISLAND」っていうイベント名も、いわゆるイベント名っぽくないというか、場所や空間をイメージさせますね。
小橋:スターって言っても、色々な意味があるじゃないですか。スーパースターだったり、星空だったり。僕たちだって、宇宙の中のひとつの星に住んでるわけです。そして、僕たち自身も自分の中に一つひとつの宇宙を持っていて、さらにあの場所、つまり橋を渡ったら夢の島みたいな異空間があるという世界を味わってほしいから…という想いで決めました。そのアイランドで非日常の体験をして、自分たちがひとつの星だと気づいて、帰っていく。
小林:イベント名については、感慨深いというか、よく決まったなと(笑)。それだけを絞り出す会議を何回もして、3ヶ月くらいかかったんですよ。
小橋:ちょうど同じタイミングで息子が生まれたんですけど、区役所に名前を提出しなきゃいけない期限があって。本当にギリギリまでイベント名と子どもの名前の両方が決まってなくて、嫁とイベントチームからブチ切れられる寸前でした。
ハリウッドのあるプロデューサーが言ってたんですけど、本当にものづくりって、最後は諦めなんですよ。突きつめようと思ったら、いくらでも考えられるんです。だって3ヵ月後にもう1回考えたら、また違う名前に行き着くかもしれない。でも、どっかで踏ん切りをつけなきゃいけない。
小林:作品って、もしかしたら妥協の塊かもしれないですよね。クリエイターは間違いなく上を目指すし、広げた風呂敷の一番先に行くためなら、どんなアプローチもするじゃないですか。寄り道も苦じゃない。なのに期限があるから、ここでスパッと決めなきゃいけないっていうものが、まぁ愛せるポイントになるんでしょうね。いつまでも突き詰めたら自分だけが望む高みにはなるんだけど、切っちゃって、それを愛する。みんなでチームとして愛する、みたいなのはちょっとおもしろい感覚ですね。期限があるからこそ、その名前が愛おしくなったり。
「見にいく」ではなく
「入り込む」
ーー コンセプトが見えてきたところで、もう少し具体的な話を聞かせてください。あえて聞きたいのですが、これは“どんなイベント”なんですか?
小林:フェスのようにズンズン音が鳴ってるようなイメージをする人もいるかもしれませんが、ファミリーや恋人、友人同士など、今回は花火ならではのお客様を想定しています。見にくるというよりは、その場所自体が異空間になっていて、そのために3Dサウンドやパフォーマーを用意している、という世界観をイメージしています。家族みんなで来たり、恋人同士や友だち同士はもちろん、会社の同僚と来ても楽しめるんじゃないかな。
3Dサウンドは本当に音が立体的で、たとえば鳥が羽ばたいているような空間を作り上げられるので、人をどんどん異世界にトリップさせることができるんです。普通の花火大会って無料じゃないですか。でも、平均1万円くらいのチケットにどれだけの価値を感じてもらえるかというと、この空間に来ないと絶対に味わえない、聴覚、視覚、感覚の体験が待っているということです。それこそ花火だけなら遠くからでも見られるんだけど、この場所に来ないと絶対に味わえない感覚を大事にしたいと思ってます。
ーー 地上でのパフォーマンスは、どうやって繰り広げられるんですか?
小林:ドバイとかでやっている水上ショーって、水の上にステージを立てて、そこでショーが行われて、最高のシーンで花火が上がるみたいなもので、僕らも最初はそれを描いてたんですけど、なんかそれって「大きいサーカスと花火大会」を足したにすぎないんじゃないかと。
そうじゃなくて、もっと異世界を作れないかってなったときに、ショーという形式ではなくオープンから日が暮れるまでは、その砂浜に今まで見たこともないような、よく分からないパフォーマーたちがうじゃうじゃいるような世界作りをしようと思っています。「この時間帯はショータイムだから見てください」ではなく、会場に入った瞬間、ここは違う惑星なんだって思わせる。さらに「花火の時間です」ではなく、その世界の日常かのように上がっている。そんなイメージです。
みんなも映画の一員であって、映画館に見に来てるわけじゃない。「STAR ISLAND」の住人になる。
波打ちぎわに8個のゾーニングとステージがあるんですが、スタージェスターと呼んでいるクラウンが登場します。ジェスターってそもそも王様に仕えるピエロのことで、それがすべてのエンターテイメントの起源なんです。
そのピエロがバーっと並んで、客席を温めていく。そして空が暗くなり、オープニングショーが始まる。そこで約100名のパフォーマーが、壮大なショーを展開していきます。
ここにもこだわりがあって、一流と呼ばれるような名前が立っているパフォーマーではなく、才能はあるのに埋もれてしまっている日本人パフォーマーたちに声をかけています。たくさんいるんですよ。シルク・ド・ソレイユじゃなくても、日本人だけのパフォーマンスでこんなにすごいものが見られるんだ、って感じると思いますよ。
たしかに、ラスベガスのショーとかって、スケールも派手さもハンパじゃない。だからそこで勝負してもしょうがないんです。それよりも、日本人ならではの情緒や心情、わびさびを感じることができるような、すべての答えを見せるパフォーマンスではなく、あなたは花火を通してどう感じましたか?と、はんなり問いかけるような空間にしたいですね。
「こうじゃなきゃダメ」を
壊していきたい
ーー 小橋さんが、こうやってどんどん新しいことに挑戦していくのはなぜですか?
小橋:たぶん、子どもの頃から役者をやってきたせいなのかもしれません。芝居って、ずっと同じ役は続かないじゃないですか。こないだまで死ぬ思いで医者の役を3ヶ月やったと思ったら、次は不良の役、その次は金融で働く人の役、とか。
毎回、落ち着かないんですよ。そのすべてが今の仕事に繋がってるとは思わないけど、自分の中でもけっこう低迷期とかスランプもあるんですよ。だからインドに3ヶ月行っちゃったり。周りは大変ですよね。でも、そこでしっかりクリエイションしてるんです。
小林:たぶん彼は、違和感に敏感でピュアなんだと思うんです。みんながこっち向いてることに対して、本当にそれで合ってるの?っていうところに敏感なんです。パフォーマーという立場で言うと、僕もその感覚はずっとあって、自分でマジックもやるし、パントマイムもやるし、ジャグリングもやる。なんでもやるんですけど、マジックをやってると、マジシャンだったらそんなことやっちゃだめだよ、とか、パントマイマーはこうじゃなきゃだめだよって言われるんですよ。
でも、チャップリンは脚本もやるし、歌も歌うし、なんでもやるんです。ロビン・ウィリアムズだってコメディアンで、俳優もやるし、映画の脚本もやるし、ときには政治的なスピーチもする。
何かの役職だからこうじゃなきゃダメだっていうのが僕はすごく嫌いで、日本のエンターテインメントやパフォーマンスは、すごくカテゴライズされがちです。本当はもっとハイブリッドであるべきで、「表現」という大枠の中でみんなが暴れるべきなんですよね。
それが今回のイベントでも同じことは言えて、みんなが同じほうを向いて「花火大会ってこうだよね」とか「イベントってこうじゃなきゃダメだよね」と言うのではなく、繊細に破壊していくことが大切だし、それが日本の「わびさび」だと思う。
美しい茶碗を求めたのが千利休だけど、そのあと古田織部っていう人が、それを思い切り歪ませて「これぞわびさびだ」って言ったのと一緒で、果たしてすべてがシンメトリーになっていることがいい世界なのかっていうとそうではなくて、ちょっと歪んでたっていいじゃん、ちょっとくらい異物が入ってたっていいじゃん、を認めなきゃいけない。そうやって進化してきたんです。それを「これまで」って言っちゃったら進化が止まるだけですから。
小橋:そもそも「職業」や「肩書き」なんて、先人たちがクリエイトしてきたものですから。たとえば「料理人」っていう職業も、レストランを作れる人がいて、器を作れる人がいて、そこに食材を提供する会社があって、そこに来るお客さんがいて、場所、土地を売る人がいて、何個かの職業が重なって出来上がるもの。みんなその時代のいろいろなものが積み重なって、職業が生まれてくるんですよね。
僕らってもしかしたら、その「職業」を作ってる途中なのかな、って思うこともあります。だから、はたから見ると何をやってるのか、どれが本当なのか、って言われちゃう。僕らの時代は、まだある意味で肩書きを模索してる。たとえば、クリエイティブを通して「気づきの場」を作りたい。これが僕の仕事なんです。だから、映画のときもあれば、イベントのときもあるし、トークイベントのときもある。
だから「場」を作っているんです。「職業:場」とか言うと「はぁ?」って顔されちゃうけど(笑)。
「日本人みんな」の感覚を
アップデート
ーー 壮大なショーと聞くと、どうしてもオリンピックのオープニングを想像しちゃいます。2020年の東京オリンピックを意識している部分はあるんですか?
小橋:僕らは意識してないんですけど、オリンピックに向けて世界が日本に注目するじゃないですか。そうなったときのお台場って、まさに玄関口だと思うんです。ある意味で、あそこが東京だと言われるし、代名詞みたいになる。
僕がやりたいのは、イベントも含めてそれを世界基準にしていくってこと。「日本発信」も大事なんですけど、まずは世界に追いつかないと意味がない。内容的に世界基準に持っていった上で、それを世界に伝えていかなきゃいけない。
小林:2020年のオリンピックで言うと、僕けっこう危機感があって。いくら斬新なクリエイターが現れて何かイベントをしたり、すごいプロデューサーが現れて企画を仕掛けようとしても、日本人の感覚がそのチューニングに合ってないと、いつまで経ってもすごいことに対して「観点が合わない」っていうことが起きるかな、と。だからこそ、こういうイベントを通してやっていくべきことは、スケール感をみんなですり合わせていくこと。自分の感覚が上がれば、楽しみ方が変わるんです。
小橋: ULTRAでやってきたことも同じで、それまで普通のコンサートしか行ったことがなかった人も「すげぇな」って思ってくれて、もっと見たくなったら世界のフェスに行ったりするじゃないですか?そうやって作り手もお客さんもアップデートしていく感覚がすごく大事ですよね。
小林:だからオリンピックでも、誰かひとりのクリエイターがすごかった、となるんじゃなくて「日本人の目線ってやっぱりすごいな」ってなることが成功だと思う。それがあと3、4年しかないっていうところで、改めてこの「STAR ISLNAD」みたいなイベントが大事になってくる。1万円払ったんだからどんなものを見せてくれるんだろう、じゃなくて、一緒に楽しんでもらえる感覚を作っていけたらな、と。
いくらテクノロジーが発展しても、僕は絶対「人の力」でしか人を感動させられないって信じているので、絶対にそこは外したくない。イベントは夜だし、はっきり言って人の表情なんて見えないと思うんだけど、ロボットでも光でもなく、人が動いてる、っていうことにパワーが生まれると思うんですよね。今回のイベントだって、どうしてもテクノロジーの部分がフォーカスされがちだけど、ハイブリッドだし、僕としてはこういうイベントを通して「パフォーマーの価値」を守るためにも戦っていくつもりです。
未来型花火エンターテインメント「STAR ISLAND」
【開催日時】2017年5月27日(土)
【開催場所】お台場海浜公園(東京都港区台場一丁目)
【開催時間】開場/16:00 閉場/21:00
※当日の演出によって時間が変動する場合があります
【公式URL】 http://www.star-island.jp/
※画像はイメージです。