無駄を楽しみ、多くは持たない。「生涯旅びと」でありたい。ー俳優:尚玄

俳優、モデルとして活躍中の尚玄氏。彼にはプロフィールには載らない“旅人”というもうひとつの顔がある。彼にとって、旅とはなんなのか? それは表現にどう役立っているのか?

shogensanphoto

沖縄県出身。俳優、モデル。デビュー作『ハブと拳骨』で高い評価を受け、数々の映画、テレビ、舞台に出演。ショーモデルとしても活躍。 映画『太秦ライムライト』、人気格闘ゲームを実写化した『ストリートファイター:暗殺拳』が現在公開中。『新撰組オブ•ザ•デッド』が来年に公開を控えている。

10399534_134953445022_6468050_n

10399534_134959050022_7870373_n

154865_10150323615020023_2988727_n

1928388_14644280022_2279_n

 

 

001.
旅する理由なんてなくていい

10294406_10154141007780023_3232116515854958949_n

athlete_head_q

尚玄さんは、無類の旅好きとお聞きしています。自身が記憶する旅のはじまりはどのようなものでしたか?

Answer

子どもの頃、夏休みに父親が突然飛行機のチケットをポンと僕に渡して言うんです。「松山行って来い」って。当時は嫌だったけど、今思うと父親なりの教育の一つだったんだな、と(笑)

だからというわけではありませんが、大学卒業後は、モデルとして本場で勝負するためにミラノ、パリ、ロンドンへ。休みがあればバックパックを背負ってフラッと隣国のドイツやスイス、またタイやラオス、カンボジアといったアジア諸国へも足を延ばしました。僕には、旅をすることが染み付いるんですよね。自然に行くようになって、止めるなんて一度も考えたことがないですから。

 

002.
あなたは、“無駄”を楽しめていますか?

1936904_234230135022_2936687_n

athlete_head_q

旅先での過ごし方など、尚玄さんにとっての旅のスタンスは?

Answer

目的地に着き、「さあ、どうしようかな?」から始まるのがいつも僕の旅(笑)。だいたい予定も決めません。とにかく現地の人に会う、話す、自分の足で歩いてみる、これが一番! 偶然出会った素敵な家族に受け入れてもらったり、地元民だけが知るガイドブックに載らないような場所が言葉にならないほどの絶景だったり。これこそ、僕にとって一番幸せな瞬間です。

とは言いつつ、予定を決めないと想定外のミスやロスも必ずあります(苦笑) そんな普段ならついイライラしてしまうことを、いかに楽しめるか? どうポジティブに捉えられるかどうか。“無駄”を無駄にしない、そう感じられたら状況がいい方向に進み出すんですよ。

 

003.
手放すとは、新しく何かを手に入れるということ

24886_10150126819420023_6627913_n

athlete_head_q

では、今までの人生の中に色濃く残る、またはターニングポイントとなったような旅はありますか?

Answer

なかでも、一番大きな転機となったのは、NYでの俳優修行です。当時、自分で言うのもなんですが、俳優・モデルとして安定していて「これから!」という時期だったんです。なぜ、そのタイミングで留学したのか? きっかけはデビュー作の『ハブと拳骨』でNYの映画祭に招待されたことでした。その際、かの有名なアクターズスクールでハーヴェイ・カイテルのワークショップを見学させてもらったんです。

衝撃でしたね。彼ほどのスターが、その地位に胡座をかくことなく、まだ高みを目指している。半年後、気づいたらNYにいました(笑)。

衝動的な渡米では、多くを得ましたが、同時に多くを失うことでもありました。それこそ生活用品など一切合切捨てちゃったわけですから。

ただ、それも自分にとってはプラスでした。身軽で背負うもののない自分。そうなった時、本当の意味で「俺はどこへでもいける!」と自由になれた。だから、今に至るまで、家具や家電は持っていません。

さまざまな経験を外よりも内にストックしたいと思うようになったんです。

 

004.
自分を知れば、他者を理解できる。演じられる。

1929527_23775070022_8013_n

athlete_head_q

 

 

結果的に、旅は役者・尚玄さんにとって好機となり、長所をより強靭なものとしてくれたのですね?

Answer

自分をより知ることで、他人を理解できる。そして演じられるんだと思います。

マイズナーテクニックという、僕が以前やっていたメソッドがあります。このテクニックは、一旦理性を取り払って、衝動的になる作業から入ります。人間は年を重ねるごとに理性が働くので、本当の意味で自分がどこで怒るのか、どういう時に自分が悲しむのかということを自ら麻痺させて生きてしまう。

自分のトラウマやコンプレックスを隠したり、怒れずにいる自分にふと気づく時ってありますよね。僕らはわかっていないんです、普段どれだけ自分の感情を押し殺して生きているか。

人間の感情は風化されていくものなので、メソッドを使うアクターは自分がどういうことで心が動かされるのかを常に自問自答します。本当の意味で自分と向き合うのは楽な作業ではないですが、それは役を演じる上でとても大切なことです。

 

005.
旅にゴールはない。
死ぬまで続くのだから

10399534_134953450022_7596214_n

athlete_head_q

 

 

そうやって自分を探求したり、旅する中で得られた大切なものは何でしょうか?

Answer

アメリカで師事したスーザン・バトソン――彼女はニコール・キッドマンの先生でもある、アメリカでは有名なアクティングコーチです――は、ある時、僕にこう言ってくれました。

「旅を続けてきたからかしら。あなたには偏見が少ないわ。そういう人は役に対しても先入観がないから、アプローチしやすいはずよ」

旅のなかで多様性を受け入れることによって、そうなったんでしょうね。もちろん、そのために旅をしてきたわけではありませんが、俯瞰で物事を見られるのは、旅のおかげであり、演者としての自分の強みになっていると思います。

そして、僕の旅はまだまだ終わっていません。飛行機に乗って旅に出なくても、常に本当の自分を知る作業を続けています。それは“インナートラベル”と言ってもいいかもしれない。死ぬまで、生涯旅人ですよ、僕は。

 

Photo by shogensan's facebook 

旅には、人生が凝縮されています。
バックパッカーになることを考えているあなた、行きましょう、姉妹と。あえて姉妹を推奨するのは「Elite Daily」のMarisa Cascianoさん。...
一生忘れない旅を君はしたことはあるだろうか?「ある」と答えた人はきっと、この先の人生は大丈夫なはず。「ない」と答えた人には、「絶対にそんなことはないはずだ...
宇宙飛行士になるための基礎知識と身体能力が鍛えられる「Space Nation Navigator」。
「Culture Captcha」は、国民全員に自国の観光に関する知識をつけてもらおう!という狙い。
お客様の中に、「飛行機の窓フェチ」はいらっしゃいますか?
海外に行きたいけどお金がないって、多くの人がぶち当たる問題だと思います。どういう旅にしたいか、にもよりますが、何か人生を大きく変えるための手段として、お金...
沢木耕太郎の『深夜特急』は、旅人たちのバイブルだ。インドのデリーからイギリスのロンドンまでバスのみで一人旅をする物語は、多くの人をバックパッカーの旅に駆り...
「強烈な原体験」は人を支え、人生を正しくデザインしてくれる。自分の内なる原体験を軸にしている人は、さまざまな制約から「自由になれて、シンプルに生きられる」...
ケヴァン・チャンドラーさんは脊髄性筋萎縮症という難病を抱えており、普段は車イスで生活しています。自身がバックパックとなって友人に背負ってもらい、世界を旅す...
米造形作家による作品です。
宿を選ぶときに、これだけは絶対にチェックしておくべき!というポイントをまとめました。カウチサーフィンも、Airbnbも大好きだけど、一緒に説明するとややこ...
お金は心の余裕、というようなことをよく聞くけれど、こと「旅」に関しては必ずしもそれは当てはまらない。旅好きの冒険心は、衝動だけも十分な動機になり得る。あな...
次に行きたい旅先は、個人のライフサイクルやステージによって変わるもの。だからこそ、よくある旅のススメだって、それぞれの目的に合わせて細分化される必要があり...
「そうだ、旅に出よう!」と、“思うだけ”の人はたくさんいる。でも、実現している人が世界にはたくさんいる。バンで自由気ままに旅をするSusi Cruzさん。...
いつか仕事を辞めて、海外へひとり旅することを企んでいる人もいるのではないでしょうか?とは言っても、これは、人生を左右するかなり大きな決断。思い切れなくて憧...
ホワチャー!と聞けば思い出す。華麗なヌンチャクさばきをマネしたことがある人も多いかもしれない。俳優であり、武道家であり、脚本家でもあったブルース・リー。生...
しょっぱい出来事、甘い生活、酸っぱい青春、苦い思い出、渋い体験、辛い失敗……。人生は「旨い」ことばかりではありません。
「日常も旅になっている」と言うのは、ファッションモデルとしてだけでなく、詩や写真分野でのクリエイティブ活動でも多くの支持を集めるラブリさん。彼女の頭の中に...
一生忘れない旅を君はしたことはあるだろうか?「ある」と答えた人はきっと、この先の人生は大丈夫なはず。「ない」と答えた人には、「絶対にそんなことはないはずだ...
「Collective Evolution」において、ライターのSarah Gibson氏が、少ない予算で旅を楽しむ10の方法を紹介しています。特に初めて...
旅に出る理由に、その土地の味を楽しむことを挙げる人はとても多いだろう。豆がぎっしり入ったダルカレーを食べたいのであればインドへ行けばいいし、焼きたてふかふ...
〈FREITAG〉の新作「ZIPPELIN」は、意外にも初の海外旅行向けのバッグ。言うまでもなく、トラックの幌をリユースしているのですべて1点物です。
Agoraphobic Traveller(広場恐怖症を抱える旅人)と自称するJacqui Kennyは、驚くことにたくさんの旅行写真を自身のInstag...