LGBT夫が読み解く「台湾と同性婚」
先日パートナーと同性婚をした私は、ゲイ業界でここ10年ほど、台湾ブームが来ていたことを肌で感じていた。理由は安直なところで「日本人は台湾人にモテる」という都市伝説から始まった。
いわゆる、我々ゲイ業界ではガチムチという類が覇権をとっていて、しっかりとした体つきの台湾人はとても魅力的だ。実際、ジェンダーに寛容なタイよりも、好みのタイプが多い台湾を好んだゲイもとても多かった。
そんな流れもあってからか、台湾のLGBTパレードに日本から参加する人も、年々増えていた。昨年度のパレード参加者は約6万人ほど。これは「Tokyo Rainbow Pride 2017」のパレード参加者が5,000人であるのに対して、12倍ほどの規模だ。
アジア初
台湾が同性婚を容認へ
そんな台湾で、アジアで初めての同性婚が実現しそうだ。5月24日、台湾の司法最高機関が「同性同士の結婚を認めない民法は憲法に反する」という判決を下した。
インドネシアで同性間の性行為が罰されるなど、最近はネガティブなニュースが立て続けにあった中、台湾の判断はアジアのLGBT界に光をもたらしたのではないか。
今回の判決の概要は、こうだ。
「同性愛者であれ異性愛者であれ、愛する人と一緒にいたいと思う気持ちは変わらないはず。婚姻は、人間の尊厳を守るために重要なこと。彼らが不利益を被らないよう、法を整備すべきだ」
台湾は2年以内に法改正をするか、新たな法律を作るかせねばならない。
今回の流れは、特にアジアの政府に対して、同性婚に関して改めて考えさせるものになるだろう。
日本に必要なのは
「当事者が声を上げること」
日本にも、パートナーシップ制度は存在する。しかし、私自身この制度を利用していないし、少なくとも自分の周りにもいない。例えば渋谷区のパートナーシップ制度は、数万円を支払わないといけないなど、そのハードルはまだ高いのだ。
このように、日本でなかなか環境が整わない理由のひとつに、LGBTの当事者たちが実は無関心なことがあるように思う。たしかにLGBTに関する意見が飛び交うことはあるが、声が大きいのは当事者ではなく、いつも運動家なのだ。
しかし台湾では、一般の人が立ち上がって声を上げた。世界中の人が彼らを応援した。そんな後押しがあったからこそ今回の判断に繋がったのではないかと感じるのである。
しかし日本でも、少しずつ前向きな風が吹いている。今年のTokyo Rainbow Pride 2017は、来場者数が二日間で10万人を超え、過去最大のイベントとなった。個人的にも、今年は家族連れも多く、気軽に参加できるお祭りになってきたように感じた。そして何より、例年より圧倒的にアライ(LGBTの当事者ではないが、性的マイノリティを理解し支援する人)の力を感じた。
他にも、SUUMOがサイト内に同性カップル入居の可否を選択できる項目を作ったり、ドン・キホーテがそれぞれのジェンダーを気遣うトイレを設置したりなど、様々な形でジェンダーに関する見直しがなされている。私も、前向きな情報をもっと発信したいと思い、今年2月には同性結婚式を開いて各メディアに取り上げていただいた。
私たちLGBTにも、他の人と同じように幸せになる権利はあるべきだと思う。近い将来、台湾に続いて日本でも同性婚の見直しがされることを信じている。