愛する我が子の「夢を叶えた車椅子」が、感動の連鎖を生み出した。

漫画やアニメのポップカルチャーイベント「COMIC-CON」。日本でも12月に開催予定ですが、アメリカ・フランス・台湾・イギリスなど世界中で注目を浴びています。

2015〜2017年のサンディエゴ会場では、子どもたちの夢を叶えた“魔法の車椅子”が登場しました。歩けないから車椅子に乗るのではなく、主役のための特別な乗り物なのです。

歩けない我が子と一緒に
永遠に続く冒険へ

魔法の車椅子を生み出した非営利団体「Magic Wheelchair」の創設者であるRyanとLana Weimer。2人には5人の子どもがいますが、3人が脊髄性筋萎縮症(SMA)という障害を抱え生まれました。自力で歩くことができないため、日常生活に車椅子は欠かせないもの。このことが、家族の暮らしに大きな影響を与えたけれど、両親は悲しみにくれるのではなく「永遠に続く冒険」と思うようにしました。

2008年のハロウィンにSMAである息子のKeatonに何になりたいか聞くと、「海賊!」という答えが。海賊には船が必要。そう考えたRyanとLanaは、車椅子を海賊船に変えることをひらめいたのです。

何度も何度もやり直しましたがKeatonは無事にハロウィンを迎え、海賊船に乗って航海へと出発しました。

このことが話題になり、世界中から問い合わせが殺到したのです。

「主役」になれる車椅子

新聞に掲載されたことがキッカケで、RyanとLanaは我が子と同じ境遇の子どもたちに“ハッピーな魔法”をかけるための活動を始めることを決意。夢を実現するためには、人手と資金が必要。ボランティアと寄付を集めながら制作を進めます。

彼らが手がけるのは車椅子の本体ではなく「衣装」のデザインですが、それでも子どものために安全性を一番に考えて何度も実験を繰り返しました。その結果、誰もが笑顔いっぱいになる最高の車椅子が、次々と誕生することになったのです。

漫画やアニメの主人公になったように、誇らしそうな子どもたち。完成した時、笑顔だけではなく涙を流しながら感激した子もいたそうです。

この世でたったひとつの「自分だけの乗り物」。子を愛する両親の気持ちが、幸せの連鎖を生み出しました。

Licensed material used with permission by Magic Wheelchair
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。