手を使わずに「脳波」で動かせる車椅子が開発中!?
身体に障害をもつ人たちに、大きな希望をもたらしうる研究結果が公開された。
テキサス州オースティン校による最新の研究で、四肢に麻痺のある参加者が自分の“思考”を使うことで車いすを高精度で操縦することに成功。以下の動画では、手を使わずとも障害物を上手くかわして進む様子が映されている。
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この実験は、手足がほとんど、またはまったく動かない3人を集め、彼らが「手足を動かすこと」を“想像”したときの脳の動きで電動車椅子を操縦させる、というもの。
参加者はそれぞれ31個の電極が入ったスカルキャップをかぶり、右へ動くときは両腕を動かすイメージ、左に移動するときは両足を動かすイメージ、そのまま前進したいときはそれ以外のイメージを頭に思い浮かべる。
その際の脳からの信号を、AIが車輪の動きに変換してくれるという仕組みだ。
このようにして参加者に車椅子を左右に動かしてもらうトレーニングを、数ヵ月にわたって週に3回行ったところ、最終的になんと90パーセント近い精度で車椅子を操縦することができるようになったという。習得の速度に個人差はあれど、慣れれば操縦は誰でもできるようになるそうだ。
研究者のMillán氏は、「人通りの多い道や管理の行き届いていない環境では、この方法が役に立つとは言えませんが、少しでも自立して動けることは、彼らにとって大きなメリットになります」と述べている。
また、現在スカルキャップを頭に貼り付けるためのゲルは、装着して数時間後には乾いてしまうため、車椅子を制御できる時間はどうしても限られてしまう。しかし、今後順調に技術が進歩していけば、ゲル自体を使用しなくて済む可能性があるとのこと。
今回の最新の研究とゲルを使わない技術を組み合わせることで、あと10年もすれば脳波で動く車椅子を世に送り出すことができるようだ。
四肢が不自由な人々が少しでも自由に移動できるようになる未来は、思ったほどそう遠くないのかもしれない。
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