9歳差カップルのラブストーリーに、10万人の批判署名が集まった。
9歳差カップルと聞いて、どう思いますか?びっくりするほど歳が離れているというわけでもなく、「まぁまぁの歳の差」くらいの印象ではないでしょうか。
じゃあそれが、9歳の男の子と18歳の女の子だったとしたら?
「BBC News」によると、インドで騒動になった『Pehredaar Piya Ki』というドラマは、王家の血を引く9歳のプリンスが18歳の少女に一目惚れし、結婚を前提とした親公認の真剣恋愛の仲になるという内容。
しかしこれが「気持ち悪い」「不適切だ」「児童婚を促進させる」などと批判され、放映中止にまで追い込まれたのです。集まった批判署名はなんと10万人分。
その背景には深い問題が絡んでいました。
批判派の主張は
「子どもの結婚を促進させる」
ドラマが問題視された背景にある「児童婚」は、子どもの人権侵害として深刻な問題。幼いうちに、自分の親でもおかしくないような年齢の大人と否応無く結婚させられた子どもたちが、結婚相手から暴行を受けたり性奴隷にされてしまう凶悪なケースも多いのが現状。特にアフリカでは、3人に1人の女の子が18歳未満で結婚しており、約10人に1人が15歳未満で結婚しているという報告もあります。
結婚する両者のうち、どちらか一方だけでも18歳未満だと児童婚とみなされるので、確かにこのドラマ内で実際に二人が結婚した場合、それは児童婚の描写にあたります。批判派はこのようなことも踏まえてドラマを「不適切」と主張、訴訟も辞さない強硬姿勢をとりました。
擁護派が支持する
「少年を守る少女の強い姿」
一方、『Pehredaar Piya Ki』のストーリーでは、主人公が少女に一目惚れして後をついて周り、こっそり写真を撮る姿や、少女がそれに気づいてから二人が仲睦まじく過ごすシーンの他にも、王室内にはびこる陰謀や度重なる危機から少女が少年を守り抜くことを誓い奮闘する姿、少年の父である王が致命傷を負った際に「あなたは息子を守れる唯一の人だ」と結婚の約束を促すようなシーンがあり、二人の関係は極めて真剣で、ピュアなイメージ。交流も「二人の意思で」進められています。
また多くの場合受動的で弱い立場に描かれやすい18歳の少女を力強く、主人公を守る立場のキャラクターとして描き、彼女自身の決断力の高さを表した点ではこのドラマを評価する声も多いのだそう。
子どもの「本気の恋」
どこまで描く?
昔から子ども同士や子どもと大人・歳の差での恋愛・性的な性質を含む関係を描いた作品は世界中に数多く存在します。
子どもであっても、相手が誰だろうと、自分の意思で恋をすること自体は自由なはず。問題は表現そのものの是非だけでなく、このようなラブストーリーが児童婚を想起させ、騒動にならずにはいられない現在の状況にもあるのかもしれません。