「廊下を走ってはいけません!」は不要な床。

「廊下は走ってはいけません!」

きっと誰もが子供の頃、一度は言われたことのある言葉ではないでしょうか。しかし実際、「走るな」と言うだけではあまり効果がないこともありますよね。

イギリスのタイルメーカー「Casa Ceramica」のショールームに続く廊下は、注意しなくても、きっとおそらく走ることはありません。どんなにやんちゃな子供でも、ゆっくりと静かに歩いてしまうはず。

その秘密は、目の錯覚を利用した新しいタイルの使い方にあります。

廊下の真ん中に大きな凹みが!?

こちらがCasa Ceramicaのタイル張りの廊下です。大きな凹みができているのにぎょっとして立ち止まってしまいそう。

実はこれ、色や形の異なるタイルを組み合わせることによって凸凹に見せているだけで、実は平坦な道なのです。平坦だとわかっても、見た目とのギャップにふらついてしまいます。

「走らないで」と言われなくても、ついつい慎重な足取りになってしまう効果があるのです。

既存のイメージを打ち壊す

この廊下には「人が走らないように」という目的の他に、Casa Ceramicaの大切なコンセプトが反映されています。

それは既存のタイルのイメージを打ち壊し、タイルの新たな使い方やその魅力を紹介する、というもの。

ショールームへ向かうこの廊下は、先に待つ部屋への期待を高める空間でもあります。目に見える歪みと現実とのギャップのおかげで、歩くだけで非日常を味わえるのですから。

壁に書かれたメッセージは、アーティストのMyroさんによるもの。廊下のデザインのコンセプトにもなっている『不思議の国のアリス』の一節やTony Walshの詩を引用しています。

不揃いな文字の並びが床の歪みと相まって一層ファンタジックな雰囲気を醸し出しています。

タイルと言えば均等に整然と並んだ姿が魅力というイメージがありましたが、Casa Ceramicaの不思議な廊下は新しいタイルの可能性に気付かせてくれます。

空間に芸術作品を飾るのではなく、空間そのものを芸術作品としてしまう発想自体がとてもユニーク。この廊下を皮切りに、遊び心とセンスに溢れた新しいタイル張りの空間がどんどん増えていくかも?

Licensed material used with permission by Casa Ceramica
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。