見えたり見えなかったり。「目の錯覚」ってどうして起こるの?
人間の目は、世界をそのまま見ているわけではありません。目から入ってきた光の刺激は視神経を通り、脳に伝達され、はじめて何らかの像を認識します。つまり「脳の認識」によっては、ありえないものが見えたり、逆にあるはずのものが見えなくなってしまったりするのです。
そんな目の錯覚についてまとめた「Asap SCIENCE」の動画をご紹介しましょう。
片目をつぶると
「●」が消える?
左目を閉じて、右目だけで十字を見ながら、画面に対して顔を前後に動かしてみてください。ある場所で、右の黒い点が見えなくなるはずです(※ある程度、画面を拡大してから試してみてください)
なんでこんなことが起こるのかというと、黒い点が「盲点」に入ったからです。人間は目に入ってきた光を網膜で受け止め、その情報を視神経を通じて脳へ送っています。視神経が束となって眼球から出ているのが、この盲点。この部分だけは網膜がないため、見えなくなるのです。
でも、日常生活において何かが見えなくて困った、なんてことはありませんよね。それは、脳が視覚を「予測」してくれているから。周りの情報から、欠落している部分を予測して埋めているのです。
上の図をさっきと同じ方法で見てみると、黒い丸が見えるはずです。前後に黒い線があれば、脳は「きっとこのまま繋がっているだろう」と判断しているのです。
黒い丸が
見えたり見えなかったり…
上の画像、黒い点は全部でいくつあるように見えますか? 本当は12個あるのですが、同時に全てを見ることはできません。ひとつの黒い点を見ていると、他の点は見えなくなってしまいます。
この錯覚も、さっきと同じ理由です。グレーの線が続いているだろうと脳が勝手に予測することで、黒い点が認識されなくなってしまうのです。
この文章、読める?
脳が勝手にミスを補完
さて上の文、なんと書いてあるでしょうか。一見違和感を感じないのですが、よく見ると「YOU」が二回重なってしまっています。
次にこの文章はどうでしょう。実際にはまったく意味をなしていない文なのですが、「It's the same reason you're able to read a sentence like this!」と読めてしまいませんか?
人間の脳は、正確さよりも処理スピードの早さを優先するため、このようなミスを補完する性質があるのです。
赤い点を
じっと見つめると…?
真ん中の赤い点を、じっと見つめてみてください。見つめ続けると、ある時点で青い輪が消えてしまいます。赤い点を見続けることで「この情報(青い輪)は、不変で不必要なものだ」と脳が認識するため、消えてしまうのです。
私たちが見ている情報は
正しくないのかも?
このように、目の錯覚はいくつもあります。人間の進化過程において、100%完璧に処理することよりも、迅速に理解することのほうが有利に働いたため、こういうことが起こるのです。
こうした脳の認識の癖について知っていると、自分の見ているものが必ずしも正しくないということがわかります。覚えておくと、日常生活の中のちょっとしたミスを防ぐのにも役立つかもしれないですね。