「私はレイシストよ」。視覚障害者たちが語る人種差別。
「目が見えない人は、中身だけで人を判断するはず」という考え方、結構よく聞くように思う。じゃあ肌の色が見られないんだから、人種差別もするはずはない?
「Cut」のインタビュー動画によると、どうやらそうでもないみたい。普段はなかなか聞きづらい、彼らの本音に触れてみよう。
目が見えないんだから
人種差別しないよね?
いいえ、私はレイシストよ。
全ての白人はレイシストだと思う。私はその中の一人だし、奴隷制度とレイシズムによって築かれた資本主義で得しているしね。
差別はしてないと信じたいけど、ある程度の偏見は持ってるよ。みんなと同じように。
僕はレイシズムを体験したし、そういう要素もあると思う。でも気にしようとは思わないね。人種が僕に影響を与えることを許してしまったら、レイシストに優位を与えることになると思うんだ。
差別はしないわ。だって見えないんだもの。しようがない。
声や訛りに注目しない限りは、相手の人種を決める手がかりがないからなぁ。でも耳からの情報でその人の人種を予想することはあるよ。
肌の色は見えなくても
耳からの情報で?
訛りはわかるから、時々それで人種を予想したりするかな。そんなこと、考えもつかないのが本当は一番いいんだけどね。でも分類せずにはいられないんだ。
例えば攻撃的で、スラングが多くて、下品な物言いをしている人だと、何の気なしに時々、本当に自然に、「この人たちは黒人なのかな」って、話し方と人種を結びつけちゃうことがある。
こんなこと考えるべきじゃないのはわかっているんだけど、世界にあるステレオタイプが根付いちゃっているんだ。
喋り方に注目しがちかな。それで判断しても、完全に間違っているかもしれないけど。だって本当に見ることはできないし。
例えば僕は日本人と仕事をしているんだけど、彼女が自分から言い出すまで、全く気づかなかったんだ。
私は話し方で人種の予想なんて出来ないわ。今インタビューしてるあなたの人種だって、わからない…。見えないんだもの。
日常で、君は白人?黒人?なんて聞く必要はないわけだし、聞いたらおかしいだろ?とはいえ、白人も黒人もメキシコ人も、何であろうと、まあ多かれ少なかれ予想はするよ。声とか、訛りとかで…。
でも目が見えない人と交流してて、半年や一年経っても僕のことを黒人だとわかる人はいなかった、って経験もしたことがあるな。
皮肉なことに、その相手も黒人だったんだけどさ。お互い分からなかったんだ。「キミ、黒人なの!?」「うんそうだよ…えっ、キミも!?」って。
私たち、視覚障害者のコミュニティの中にもレイシズムはあると信じてる。だって人種差別はそこらじゅうにあるもの。人種の判断に繋がる材料は、なにも肌の色だけじゃない。
同じ社会にいる以上、目の見えない人たちも例外なくその影響を受けるわ。
差別はどこからくるのか。
情報が入ってくる限り、無意識のうちに、根拠のない分類をせずにはいられない。この告白にドキッとした人も多いはず。
こうしてみると、もはや人種差別は個人が自分の意思で「する」・「しない」を決められるものではないようにも思えてくる。それよりももっと深いレベルで「刷り込まれている」ものなのかもしれない。