3Dプリンターのおかげで、視覚障害者の人でも「絵画」が楽しめるようになった
目の不自由な人たちが絵画を楽しむには、どうすればいいのか?フィンランドのデザイナーが考案した、“触れることのできる”絵画が、注目を集めています。3Dプリンターによる技術革新で、世界の名作を体感する人々が増えそうです。
『モナ・リザ』に触れた感想。
え〜、これが本当に
クラシック・ビューティー?
「本当にいい形をしているわね。思っていたよりも、ずっと鼻が長いし。特徴的で…これが、謎めいた微笑みって言われるゆえんなのね。それにしても、みんなが言うほどクラシカルな美女には思えないけど(笑)」
これは、目の不自由な女性が生まれて初めて名画『モナ・リザ』を“鑑賞”した瞬間のコメントです。古典絵画を実際に手で触れることで、彼女は絵画を“観る”のではなく体感することができました。女性がこれまでに知識として得ていた情報。作品の中のモナ・リザは、古典的な美女だった。抱いていたイメージとの違いに、思わず吹き出してしまったのでしょうね。その様子は動画で御覧ください。
「目に見えないアート」を
3Dプリンターで再現
視覚障害を抱える人たちへの、芸術体験の一助として3Dプリンターを使った、“触れることのできる”作品を提供する、ヘルシンキ在住のデザイナーMarc Dillon氏。彼のプロジェクト「目に見えないアート(Unseen Art)」は、触れて感じることができるように、世界の名画をダウンロードし、3Dプリンターで再現するというもの。書作権切れの古典絵画を中心に、形はあれど目に見えない作品を手がけています。
名画に触れることで“鑑賞”できる
「目の不自由な人々にとって、これまで絵画展は退屈な場所だったかもしれません。実際手にして感じることができる作品がなかった訳だから。この技術はまさに革命的。彼らがより美術館へ足を運ぶ、きっかけになるかもしれません」
フィンランド盲人協会の文化ディレクターEija Liisa氏のこの言葉にあるように、視覚に障害を抱えていても、同じように絵画を楽しむための画期的なツールになり得るのでは?
古典絵画の作者や技法に精通していても、実物を目にすることができない人が、世界には数多くいるとDillon氏は強調します。彼らにとって作品に触れることで、初めてその作品を体験したことになります。そのとき初めて、自分の意見や感想を口にできるのはず。
画期的な彼のアイデアをさらに実現していくため、現在クラウドファインディングで資金調達中。
図書館や大学で
名画を自由にダウンロード
将来的には、大学や図書館にこの3Dプリンターを設置し、目の不自由な人たちが自由にダウンロードして印刷できる技術にしたいと、志を高く持つDilllon氏。ローカルビジネスからグローバルを。それが最終的なゴールなんだそう。
Licensed material used with permission by Unseen Art