視覚障害の妊婦たちに「我が子を初めて見る」瞬間を共有する素敵なサービス

お腹のなかの赤ちゃんの様子を知る超音波エコー検査は、妊婦さんやパパが初めて胎児の表情をうかがい知る機会。けれど、視覚障害の人たちは心音は聞けても表情を見ることができずにいました。これを3Dプリンターで解決した、ポーランド発の素敵なサービスを紹介します。

指先で感じる我が子の表情

3Dプリンターの技術を使って、生まれてくる子を待つ視覚障害者たちの支援を始めた企業がポーランドにあります。初めてエコーの映像を見たときの忘れられない感動をすべての親が持つべき、と「In Utero 3D」は設立されました。

共同設立者のAleksandra Witkowska-Masojćさんも一児の母。妊娠中、超音波検診を受け初めてエコーに映る自分のお腹の中の子どもの姿を見たときに、喜びの感情とともに、このアイデアを閃いたと「Digital Trends」に語ります。

「映像や写真を見たときの感情の高ぶりは、目が見えない母親たちにだって届ける必要がある。胎児のレリーフがあれば、彼らは出産のその日までいつでも“目にする”ことができるのですから」。

記念の品ではなく、
必要とされるべき人に届ける

通常のエコー検査の他に、特別なスキャニングをする必要はなし。ソフトウェアでエコー写真のデータを3Dプリンター用に転換し出力するだけ。「In Utero 3D」では、胎児の表情が良く見えるよう補正をかけることは一切せず、忠実に再現することをモットーにしています。

思えば何のことはない既存技術の使用例かもしれません。確かに3Dプリンターの実用化が進んだ2013年頃より、こうしたエコー写真から胎児の3D化サービスは国内でも徐々に増えてきています。

けれど、今回のAleksandraさんのプロジェクト(「Waiting without barriers」)は、両親の想い出としての意味合いではなく、必要とされるべき人に届くサービスの実現を目指したもの。そこが素敵だと思いました。

国外からも
サービスが利用できる

ポーランド在住者であれば、視覚障害者を証明する書類を提出することで、日本円にしてわずか26円ほどで出産を心待ちにする両親の元へ、三次元化された胎児のレリーフが届くそうです。

また、このサービスは国外からでも利用が可能。エコー写真から作成したデータファイル(STLデータ)を受け取ることができます。こちらもやはり1ユーロ(約115円)。ここにもAleksandraさんの“without barriers”な精神が現れているように思いませんか?

必要とされる方は「IN UTERO 3D」へ。

Reference:Digital Trends
Licensed material used with permission by IN UTERO 3D
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