「ストラディバリウス」が名器たるゆえんは? 3Dプリンターで分析する試み

言わずと知れた名器「ストラディバリウス」。時に10億円を超えるそれは、ヴァイオリニストならば一度は弾いてみたいと思う垂涎の逸品です。

300年以上の時を超えて人々を魅了する音色の秘密とは、いったい何なのでしょうか?

それを探る手段として白羽の矢が立ったのは、3Dプリンター。ストラディバリウスをスキャンして、構造を再現した楽器を作り出したのです。

研究に2年
製作に9ヶ月以上

1677年製の「Sunrise」モデルを元にした、3Dプリント版ストラディバリウス。こちらが、その演奏動画です。

大きな舞台でも響き渡る力強い音が魅力のストラディバリウスに比べると、少しパワーに欠けるよう。しかし、優しく弾くと驚くほどボリュームを絞ることができ、反対に強く弾くとすぐに音が割れるという「Sunrise」ならではの特徴は受け継いでいるとのこと。

「レプリカを作ること」が
目的ではない

ヴァイオリンを丸々プリントしたのではなく、部品を印刷し、職人が仕上げたというこの楽器。研究に約2年、製作だけでも約9ヶ月を費やしています。

制作者のHarris Matzaridis氏は、このレプリカ製作の狙いについてこう語ります。

「この楽器が本物の音に近いかどうか、という議論が起こっているようですが、私の狙いはストラディバリウスのレプリカを作ることではありません。そもそも、そんなことができるとは考えていません。

これは『最高の楽器』と呼ばれるものが、一体どういうメカニズムで作られているのかを研究するための手段です。

まだ研究は途中ですが、今後も良い楽器の仕組みを正しく理解するために、アプローチを続けていきたいと思います」

「美しい」や「良い」という感情を抱かせる楽器の音色は、一体どこから生まれるのでしょうか?

経年変化が絶妙だとか、ニスに秘密があるとか、実は防虫剤が関係してるんじゃなかろうかとか、名器たるゆえんには諸説あるストラディバリウス。

今回の試みを通して、新しい説が出てきたら面白そうです。今後の進展が楽しみな研究ですね。

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