サラリーマンたちに一体、何が起こったのか?
殺人事件の現場に引かれる白い線。そんな現場に立ち会ったことがなくても、刑事ドラマなどで見たことがある人も多いはず。あれは、遺体の周囲を白線で記録することで、回収後でも遺体の場所や向きなど、状況を把握しやすくするという意味があるようだ。
さて、その白線に囲まれている写真にうつっているの、何故か、日本のサラリーマンばかり。でも、目を凝らしてみると!?
死んでいるのか、寝ているのか?
種明かしをするとサラリーマンたちは、酔っ払って寝ているだけ。決して、死体ではないのでご安心を。じつは、これらのショットは、日本のサラリーマンを追ったドキュメンタリー映画で登場する場面。
映画『サラリーマン』でメガホンをとっているのは、コスタリカ出身の映画監督Allegra Pachecoだ。
忙しいウィークディを終え、金曜日の夜に繰り出したはいいが、日常の疲れも手伝って酔い潰れてしまったサラリーマンの姿をカメラに収めたようだ。まあ、白線は彼女のちょっとした演出だったというわけだ。
働き方について
一石を投じるきっかけに
彼らを死体のように描いた理由は、決して彼らを批判するのではなく、あくまで再評価するためなのだとか。しかしながら、限界を超えて仕事をする姿は、外国人の目には、とても異質なものとして映ったのだろうと想像できる。
昨今、日本では、過労死などの問題が明るみになって、働き方について様々な見直しがされている。しかし、長年に渡って染みついたサラリーマン気質までは、そんなに簡単には変えられないのも事実。
外国人からの視点でサラリーマンを描いた映像は、僕たち自身を客観的に見つめるきっかけになることだろう。同時に、この映画を観た世界中の人々からの意見を聞ける機会にもなるかもしれない。
Allegraは、過去に5度ほど日本へ訪れたことがあり、地下鉄のホームに寝転がる泥酔したサラリーマンなどを収めた写真作品「Japan」を制作した実績もある。撮影クルーと共に述べ4ヶ月ほど東京に滞在して30名以上の人々にインタビューを行ったようだ。