聴覚障がいを持つ映画監督、耳が聞こえないのは障害ではない。

私は耳が聞こえないことを
障がいだとは思わない。

そう語るのは、映画監督の今村彩子さん。彼女は生まれながらにして耳が聞こえない。
学校では友達の輪に入ってお喋りをすることができず、家に帰っても家族が楽しそうに見ているテレビを一緒に楽しむことができない。唯一の楽しみは、父親が毎週借りてくれた字幕付きの洋画だった。

movie about communication

しだいに今村さんは映画監督になりたいという夢を抱くようになり、19歳の時にアメリカ留学。映画制作を学んだ。1年後に帰国し、ドキュメンタリー映画の制作をスタート。
聞こえる人と聞こえない人の間に立ちはだかる「障がい」という壁を取り払おうと、ろう・難聴者を取り上げた作品を30本近く制作してきた。

これまでの作品を通して彼女が学んだ事は「聞こえる人との会話が難しい」のは ”聞こえないから” ではないということ。海外旅行で言葉の通じない国へ行き、「現地の人との会話が難しい」のと同じ。現地の人と手ぶり身ぶりで一生懸命コミュニケーションをするのと同じように、聞こえない人も聞こえる人との会話をあきらめず、どうしたらお互いにスムーズにコミュニケーションができるのかを考えながら、筆談、ジェスチャーなどの方法を実践していくことが大切なのだという。

自転車で日本縦断をして、
出会った人たちとの
ふれあいを映画にしたい!

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そして、今回撮るのは、自転車で日本を横断し、訪れた地域で出会った人たちとの交流を記録した映画。

去年、今村さんは初めてクロスバイク(スポーツ自転車)を購入。自転車では行けないと思っていたところでも、自分の力で行けてしまうことに驚き、感動したという。
母と祖父が亡くなって、生きる気力を失い、映画製作に対する意欲も湧かなかったときですら、自転車に乗ると元気が出てきたそう。

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その「コミュニケーション」と再度、向き合う元気をくれた自転車で日本を縦断し、訪れた地域で出会った人たちとの交流を通して感じたこと、考えたことを映画にしようと思ったという。

悩んでいる人たち、
自分を変えようとしている
人たちのためにも

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コミュニケーションに悩んでいるのは、耳が聞こえない人たちだけではない。彼女の作品を観た健聴者からも「コミュニケーションについて考えさせられた」という意見も多く寄せられた。この映画が、そんな悩みを持つ全ての人へのエールなれば…と彼女は言う。

現在、今村さんはこの映画を製作するための費用をREADYFORで募っている。彼女の新たな挑戦にぜひ、協力をお願いしたい。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。