オランダに「観察されるホテル」が、できるのかもしれない。
オランダで生まれて、世界に名を轟かせている建築事務所『MVRDV』。
まえに建築物をリサーチした時に出てきて、記憶に残っていたのが彼らの有名な作品だった。高齢者のための「WoZoCo」と、ウォーターフロントに浮かぶ「SILODAM」。
どちらも“集合住宅”で、オランダの小さな国土にしては、人口が増えすぎてしまっている問題を考えて建てられたもの。
場所がないなら、彼らは海も住処に変えてしまう。
メディアへの露出はもともと多く、今までの建築物も取り上げられているけれど、『Dutch Design Week 2017』でもまた、あたりをざわつかせる新作を発表していたようだ(Instagramの出没率も高め)。
けれど今回はちょっと違う。他の作品の時よりも、その声には“艶やかさ”が感じられた。
「ぼんやり透ける」
それがなにより、魅惑的。
透ける壁に囲まれながら「非日常の刺激」を求めたいーー
なんてセリフから、ホテルの説明をしたら怒られるだろうか。実のことを言えば、コンセプトは<未来都市>で、破廉恥さなんて意識していないのかもしれない。
とは言っても、だ。“15デニールのタイツ”みたいに絶妙な透け感を見たら、どうにもそんな連想のレールに乗っかってしまう。おかしいのだろうか?
おかしいのなら言わせてほしい、「もっと壁を厚くしてください」と。そして、「ピンクの壁に、外から丸見えのトイレを設置しないでください」と。
この大きさに<9名分>っていうのは、さすがに押し込みすぎだと思ったけれど、意外とそうでもなさそう。ダブルサイズのベッドも置けるし、トイレだって複数ある。
これを住居としてではなくて、宿泊施設にすることで「記念に1泊くらいなら」と、観光の一環にもなる気もする。
私なら、絶対に嫌だけれど(笑)。
残念だけれど、今回はあくまで展示物。
とは言え、アムステルダムといえば「欲望に従順な街」だと私は思っている。売春合法、大麻合法。ほとんど裸のお姉様方が、ガラス越しに誘ってくる飾り窓地区。やたら絵になるラブホ街。初めて足を踏み入れた時に、この場所での「普通」には、幾度も驚かされてきた。<LOVE SHOP>が多すぎる。
他の場所でなら実用化は見込めないけれど、オランダならやりかねないとも思う。あくまで予想だけれど、「他人に覗かれる生活」という非日常の刺激は、きっと心地よいくらいだ。