84歳の神様がつくる日本酒、復活。

石川県小松市の酒蔵で、「神様」が復活する。

能登の酒造り四天王
「農口尚彦」

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「16歳からずっと酒づくりを続けてきましたので、引退してからの2年間、寝ても覚めても酒づくりのことが頭から離れませんでした」

「酒造りの神様」の異名を持ち、日本最高峰の醸造家である農口尚彦さん。

酒造りの最高責任者である杜氏(とうじ)として、1970年代以降低迷が続いていた日本酒市場で吟醸酒をいち早く広め、日本酒ブームの火付け役を担った。また、戦後失われつつあった高度な技術を必要とする山廃造りを復活させ、南部(岩手県)、越後(新潟県)、但馬(兵庫県)と並んで、日本四大杜氏である能登杜氏の四天王のひとりに数えられている。

この道、約70年——。

2012年には胃がんを患い、2015年には酒造りから身を引いた。それでもなお失われない熱い想いを胸に、ひとりでも多くの人を笑顔にできるように、と日本酒造りに再び挑む。

神様のこだわりとは?

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2年のブランクを経て酒造りを再開する酒蔵は、農口杜氏の想いを受けて設立され2017年11月に完成した、石川県小松市にある「農口尚彦研究所」。

多くのファンたちが待ち望んだ、四天王の復活。
その酒造りには、こだわりがある。

こだわり01.
仕込み水

酒造りの新天地として選ばれたのは、石川県小松市観音下町(かながそまち)。霊峰「白山」の麓で、美しい田園風景が残る里山。

この地には白山連峰からの伏流水が流れ、それは農口杜氏が長年使い続けてきた水である。

こだわり02.
酒米

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日本酒造りには欠かせない、酒米。

農口尚彦研究所では、地元石川県と富山県産の「五百万石」や兵庫県産「山田錦」、長野県産「美山錦」など、農家が丹精込めて栽培し、細心の注意を払って丁寧に精米されたものだけを使っている。

こだわり03.

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「夢や情熱をもった若者と共に、酒造りをしたい」

ここでのコンセプトは、農口杜氏の酒造りにおける匠の技術・精神・生き様を研究し、次世代に継承すること。

2017年6月には、酒造りに夢と情熱を持った若者の公募を開始。そして、多数の応募のなかから採用された7名の若き蔵人たちが、農口杜氏と共に酒造りに挑戦する。

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日本酒の全国新酒鑑評会で、連続12回を含む通算27回の金賞受賞や、厚生労働省が選ぶ「現代の名工」への認定など、これまで数多くの称号を得てきた。しかし、今回の酒造りで農口杜氏が目指しているのは、偉大な賞を取ることではなく、飲んだ人に喜んでもらうことのできるお酒をつくることだ。

酒造りから離れていたとき、手紙で応援をしてくれたファンへの恩返し。そして、酒造りを志す若者へ、想いを伝えること。神様による最後の挑戦は、とことん「人」にこだわった感謝と情熱の酒造りなのだ。

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