岐阜にある、居心地が良すぎる図書館のヒミツ

図書館というのは、単に蔵書数が豊富であるというだけでなく、何時間でもいたくなるような空間の居心地の良さがあってほしいもの。子どもからお年寄りまで、さまざまな利用者が共存できるいい図書館があると、まち全体が豊かになるような気がします。

岐阜県岐阜市に2015年に開館した「みんなの森 ぎふメディアコスモス」は、岐阜市立中央図書館を中心に、多目的ホールなどが入った複合施設です。

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設計を手がけたのは、せんだいメディアテークやまつもと市民芸術館などを手がけた伊東豊雄建築事務所。建築物としての美しさは言うまでもなく、実際に過ごしてみるととにかく居心地がよいのです。

そこには、納得の理由がありました。

美しいだけじゃない
11個の巨大な「グローブ」

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図書館に入るとまず目に飛び込んでくるのは、天井から吊るされた巨大な傘のようなもの。これは“グローブ”と呼ばれ、図書館の象徴的な存在になっています。

「文学のグローブ」「展示グローブ」「ゆったりグローブ」などそれぞれに名前が付いており、表面にはうっすらと模様が。この模様は入り口の案内板と対応しているので、本を探すときにも役立ちます。

そしてグローブは視覚的なインパクトを与えるだけなく、その機能にもしっかりと意味がありました。

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グローブの上部は開閉するようになっており、春や秋の季節には最大限に開けて自然換気し、冬は暖かい空気をグローブの中にとどまらせる仕組みになっています。空気の流れを、うまく利用しているのでびっくり。グローブの際に立つと、空気が流れているのを体感できるのでぜひお試しを!

ちなみにグローブの模様は、地元の学生さんが協力して1枚1枚貼り付けたものだそうです。

渦巻く「本棚」

メディアコスモスの特徴のひとつは、本棚が上から見るとグローブを中心として、渦を巻くように配置されているところ。どうしてまっすぐに整列していないのでしょうか? その答えは、実際に本を探してみるとよくわかります。

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右回りに見ると本の背表紙がしっかりと見えて、本棚をずらして配置することにより、奥と手前の本棚にも自然と目がいくようになっています。

一方で反対から見てみると、本棚の側面に表示されたジャンルが見えるようになっています。左回りでジャンルに目星をつけて、右回りでお目当の本を探す。無意識にも、そんな動きになるように設計されているのです。

本棚は通常よりも低く作られていて図書館の端まで見渡せ、それが開放感にもつながっています。

波打つ天井
「木製格子屋根」

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天井をよく見ると、緩やかに曲線を描いているのがわかります。岐阜県産の「東濃ヒノキ」を使った細長い板状の木材を組み上げ、材木が自然にたわむ力を利用してこのような形状を保っています。

メディアコスモスの建設時期は、ちょうど東日本大震災の直後で材木不足だったこともあり、比較的取りやすい長い板を利用する設計にしたそうです。天井はグローブの曲線と相まって、やわらかい印象を与えてくれる温かみのある空間です。

お気に入りの場所で
想い想いの時間を

図書館には、子どもからご年配までたくさんの方が訪れます。子どもははしゃぎたいし、学生さんは静かに勉強がしたい、ご年配の方はゆっくり新聞が読みたい……目的の違うお客さんが、それぞれに居心地のよさを感じられるのがこの図書館のよいところ。

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いちばん大きな「ゆったりグローブ」では、その名の通りのんびり過ごすための空間。ソファに腰掛けて雑誌を広げてゆっくり過ごす利用者の姿が。休日にリラックスして過ごしたいときに、おすすめです。

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「親子のグローブ」では、小さな子どもたちが自由に動き回ったり、親子で読み聞かせをしている様子がみられます。ここで子どもが少しざわざわしていたとしても、勉強している人も気になりません。

この図書館のコンセプトは「子どもの声は未来の声」。来館者の皆さんが子どもの声を「未来からの声」として、成長を見守る場所と考えてくれているからです。保護者の方もここならお子さんの泣き声やはしゃぎ声を気にせず、一緒に楽しめる空間になっています。

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晴れた日には「ひだまりテラス」で日向ぼっこをしながら、時間を忘れて読書に耽るのも気持ちがよいです!イスやテーブルは、まるで美術館のようにおしゃれなデザインです。メディアコスモスでは、様々なタイプの席から利用者が気分や好みに合わせて居心地よい場所を選ぶことができます。

空間の美しさと居心地のよさの裏側には、さりげなくも重要なデザインがあらゆるところに施されていました。みなさんもお気に入りの場所を見つけて、想い想いの時間を過ごしてみてくださいね!

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