22冊から変える未来。イギリスの図書館がはじめた「緑の読書体験」

さまざまな環境問題に関するニュースを目にする機会が増えるなか、具体的なアクションへと移すにはハードルが高い。そう感じる人も多いはず。だが、ここに紹介するイギリスの地方図書館が始めたあるユニークな取り組みは、“はじめの一歩”への敷居をぐんと引き下げてくれる好事例。

22冊の選書から始まる
持続可能な未来への第一歩

今月、英カンブリア地方にあるウェストモーランド図書館とファーネス図書館が、一風変わったブックコレクション「Go Greenコレクション」の貸出を開始した。

「BBC」によれば、全22冊から構成されたコレクションは、「気候と生物多様性の問題に取り組む」という評議会の目標のもと、気候変動や再生可能エネルギー、自然保護などのテーマにまつわる名著を揃えたとのこと。環境問題に関心の高い人も、これから学び始めたい人も、選書から自分に合った一冊を見つけてほしいという意図がある。

この取り組みのユニークな点は、単に環境問題に関する情報を提供するだけでなく、読書体験を通して行動変容を促すというところ。コレクションの設置を推進したGiles Archibald議員は「このコレクションを通して、地域社会が持続可能な生活様式を取り入れるための一助となれば」とコメント。知識の提供にとどまらず、行動のきっかけとなることを目指している。

彼らに限らず、近年サステナビリティをテーマにしたイベントやワークショップを積極的に開催する図書館は増えている。書籍という静的な情報提供に加え、体験型のイベントを通してより深く、楽しく学べる機会を提供している点に意味がある。実際に、将来的に図書館を「サステナビリティハブ」として機能させる構想を掲げているほど。

情報過多の現代社会における
図書館の新たな価値

環境問題に関する情報はググれば無数に見つかるが、情報過多の現代社会において、本当に信頼できる情報を選び、行動に移すことは容易ではない。ゆえにこうしたコレクションは、質の高い情報へのアクセスを平等に提供することで、地域住民一人ひとりの意識と行動の変容を後押しする存在になり得るのではないだろうか。

図書館という身近な場所から、持続可能な社会へのムーブメントが生まれるとしたら……。図書館へと足を運ぶ価値はありそうだ。

👀GenZ's Eye👀

じつは、小学生のころ年間120冊以上の本を借りていたほど、足繁く図書館に通っていた筆者。今思えば、偶然図書館で手にした本が、その後の趣味や関心につながっていたような気がします。

そして図書館は、いろんな世代、職業の人があつまる場所。今後は社会変革のハブとして機能していくのかもしれません📚✨

Top image: © iStock.com / draganab
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