デートの緊張で「ごはんの味がしない」とき、思い出してほしい。
意中の男性とご飯を食べるのって、思った以上にハードルが高い。
まず最初に、大口を開けたり、ずぞぞぞっ…とお下品な音を出してしまうような料理はあり得ない。どんなに相手がラーメン好きだったとしても、確実に回避したいところである。
次に、食べるのが難しい料理もリストから外したい。ハンバーガーやタコスは、「かぶりつく」という野生的な側面を見せてしまううえに、ポロポロとこぼれたり、ソースが口につくのを避けなければいけない。こんなに注意事項の多い食べ物を選んだら、もう会話を楽しむ余裕はない。
さらに量にも気をつけなければならない。普段はペロリと食べられる量でも、好きな人の前でメニューを開くと、途端に不安が押し寄せる。にわかに感じる食欲不振。当然、料理を残す人は印象が悪い。対して、「美味しそうにたくさん食べる女性」は好感度が高いという声も聞く。考えるほど、胃は縮まっていく気がする。
このように、脳内で消去法を使いこなした後、ようやくオーダータイムに至るというわけだ。
はぁ疲れる。まだ食べ始めてもいないのに、すでに褒めてもらいたいレベル。向かい合っているのがイケメンだとしたら、もう味なんてほとんどしなかったりする。
味がしなくても、
美味しそうにふにゃっと笑いたい。
さて、ここまででも十分に世の恋する女性たちは頑張っていると思う。けれど、おそらく男性はその苦悩のほとんどを知らず、「美味しく食べてくれること」を期待しているに違いない。もちろん、食事において男性が何も悩んでいないということではなくて。男性の苦悩を考えたうえで、だ。
一番は「お店選び」だろう。何が好きか、どんな雰囲気がいいか、予約は……と、エスコートした側は当日に相手の反応をかなり気にするはず。だからこそ、美味しく食べている姿を見せることを忘れてはいけない。
例え緊張しすぎて、好きすぎて、イケメンすぎて、味がわからなくても。
なぜなら、「おいしい〜〜!」という笑顔こそ、エスコートしてくれた人に対する最高の恩返しだから。このホッとしつつ胸きゅんする反応がなければ、美しく完食するための試行錯誤も水の泡。
解決策は、
「甘いもの」にあり。
ここまで長いこと好きな人との食事の難しさについて語ってきたけれど、ここで対処法を。
もちろん、味がしなくなるのは勘違いではない。人は緊張・ストレス状態によって、味覚が変化してしまうのだ。(詳しく知りたい人は『日本官能評価学会誌』の論文へ)
疲れて帰ってきた時のビールがとびきり美味しいのと同じように、好きな人と向かい合って緊張した状態では、味覚が鈍くなる。「イケメンすぎて味がわからない」のは、気のせいではない。イケメンは心と一緒に味覚をも奪っている。
……とにかく、味がわからないのだから上手に「美味しい」と表現することは難しいかもしれない。そこで、だ。うまく『甘いもの』を使ってほしい。
上で紹介した論文によると、緊張状態でも“甘さ”だけは味をなくさず、むしろ普段より甘く感じられるようになると認められている。
つまり、緊張していてうまく笑えなくても、甘いものを食べれば、ナチュラルに美味しさを顔に出せるかもしれない。メインディッシュの味はわからなくても、『デザート』というリカバリープランがあることを忘れずに。ディナーの締めくくりが幸せそうな笑顔であれば、彼にとってもあなたにとっても大成功でしょ?
もしくは、先にカフェデートを挟んでおく。そうすれば、“美味しいものを食べている可愛いあなた”を知っておいてもらえる。
万が一甘さすら感じられなかったら、もう桁外れのイケメンか、ずば抜けて惚れ込んでいるかのどちらか、ということにしよう。甘味を狂わす恋の病に、太刀打ちする術はない。