35年間「映画」が禁止されていた。これが、サウジアラビアのリアル。

サウジアラビア文化情報省が、12月11日に映画館の営業を35年ぶりに再開することを発表した。と言っても、そもそも映画館まで禁止されていたことを、このニュースで知った人も多いと思う。

私自身も「そういえば禁止されてたっけ……」とぼんやり思っていたのだけれど、最初に公開されるのがまさか『少女は自転車にのって』だとは思わなかった。自国の戒律に背いて夢を叶えようとする、サウジアラビアの少女の物語だ。

「自転車に乗ること」
それすら女性には許されなかった

Photo by 「少女は自転車にのって」 発売/販売:アルバトロス

サウジアラビアで女性が卑下されながら生きているリアル、「ふつうのこと」が許されないというもどかしさが、この作品には溢れている。監督は、初めての同国女性。

撮影はすべて国内で行われたけれど、女性が男性に指示する姿を見られたら大問題になるため、監督は見えないように隠れて、ずっと遠隔で現場を動かしていたそうだ。

ヴェネツィア国際映画祭で2012年に初公開されたものの、国民が見ることは許されていなかった。

“モノ”として
扱われ続けてきた女性たち

サウジアラビアの女性たちは、基本的に男性の保護下に置かれていて、自立が許されない。宗教的に罪を犯した者を、家族が裁くという『名誉の殺人』の風習も残っている。

妻が不倫を行っている、という噂が立っただけで、家族がその女性を殺すケースが少なくないようだ。殺害に及んだ家族の男性は名誉の殺人であるということで犯行をとがめられたり裁かれることはない。

レイプ事件が起きた場合に、罰を受けるのは男性ではなく女性。「男性を誘惑した罪」だと言われてしまうようだ。家族が社会的不名誉を恥じ、その女性を殺害する場合もある。

今でもその状態なのか正確にはわからないけれど、国際問題評論家・イスラム圏研究者である佐々木良昭さんは、2009年にこの情報を公開していた。 

現地で撮影されたこの映画のなかにも、その理不尽さがとてもリアルに描写されている。

たとえば、男性の目に届く場所で歌を歌ってはいけないこと。好きな人にラブレターを渡すだけで、殺される恐怖と戦わなければいけないこと。

第1作目にこの映画が選ばれたということは、女性が人権を取り戻すために、大きく国の文化が変わろうとしている証明と言える。

Licensed material used with permission by © 2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana StudiosAll Rights Reserved.

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