認知症の母とフォトグラファーの息子から学ぶ、「本当の絆」とは?
多くの場合、自分の性格や考え方、好みを誰よりも知っている両親。だけど、画家でもありフォトグラファーでもある、Tony Lucianiさんの母Eliaさんは、彼の名前すらも覚えていません。一緒に暮らしていたのにもかかわらず…。
認知症を患ったために多くのことを忘れてしまったEliaさん。名前を呼んでもらえる可能性も限りなく減ってしまったTonyさん。だけど、2人の絆は、この病気があったからこそ、より強いものとなっているのかもしれません。
薄れていく「記憶」を
ずっと残る「記録」に
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歳を重ねるごとに、Eliaさんは自分ひとりで生活することが難しくなってしまいました。そのために、Tonyさんはアトリエ兼自宅に彼女を呼び、一緒に暮らすことを提案したのだとか。
認知症の症状が進行してきたのは、ちょうどその頃。ある日、彼がカメラを使っていたところ、Eliaさんがのぞき込むようにして、写真に写ってきたそう。
振り返ってみると、これがTonyさんのプロジェクト「Mamma: In the Meantime」の始まりでした。どんどん薄れていく母親の記憶をカタチにすることで、後でも振り返ることのできる記録にすることに。
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Tonyさんの作品は、Eliaさんとの会話の内容を踏まえて、撮影されています。例えば、彼女は幼い頃の思い出は、よく覚えているそうです。
「10分前のことは忘れたとしても、お母さんは、70年、80年前のことはしっかりと覚えているんだ」
と、Tonyさんは「Upworthy」のインタビューに答えています。他にも、数カ国語を話すことができたにもかかわらず、彼女は旅行をしたことがなかったので、世界各地へと飛び立たせるような作品も制作しています。
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今となっては、EliaさんはTonyさんの名前を忘れてしまうほど、認知症が進行してしまっているとのこと。
でも、それでもです。2人の間には、“言葉”以上の深い絆が築かれているのではないでしょうか。
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