認知症の夫に記憶を呼び戻したのは、妻との一枚の写真だった
2014年世界保健機関(WHO)が発表した男女別の平均寿命ランキングで、スイスは男性2位、女性3位の結果。欧州でも、少子高齢化が進む国のひとつです。高齢者をどう支えるかは、国を挙げての大きな課題。それは、こんなCM広告からも伝わってきます。
認知症という身近な病気をモチーフに、ある老夫婦の愛を描いた作品です。記憶の断片を失っていく夫に、ある想い出が甦った瞬間でした。
しあわせの瞬間は
永遠に失われることはない
永遠に失われることはない
認知症を患い、介護施設で生活を続ける夫。その彼を訪問してきた妻。黄色く色づいたイチョウの葉が地面を覆い尽くし、すっかり冬支度が整った施設の庭が舞台です。
感情を失ったような表情をしていた夫は、この日、妻からのクリスマスプレゼントをきっかけに、ある思い出がさざ波となって蘇ってきたのでしょう。彼女の手にそっと手を重ねると、二人は銀杏の絨毯の上でダンスを始めました。
認知症の夫に甦った
遠い“あの日”の記憶
遠い“あの日”の記憶
夫の記憶がフラッシュバックしたのは、1950年代。それは大晦日の出来事でした。
カウントダウンパーティーのなか、初めて出会った二人。まるで見えない力に吸い寄せられうように、目と目が合った若き日の男女。手を取り合って踊ったチークダンス。あれから幾年…。
老いた夫は記憶が色褪せていくばかりか、いま、病に冒され愛する妻の顔すらも、次第に記憶から消えていこうとしているのかもしれません。
そんな夫の脳裏から、大切な想い出を呼び覚ますきっかけとなったモノ。それが、妻から贈られた、“あの日”の写真だったのです。
想い出をめくっていますか?
わずか45秒に、60余年分の老夫婦の愛を集約させた秀逸なストーリーは、スイスのフォトアルバムメーカー「iFolor」による、クリスマスCMです。
老いた妻役を演じているのは、映画『エレファント・マン』や『ウィンター・ローズ』で活躍した女優ヘレン・ライアン。落ち葉舞い散るなかでのダンス、喜びと悲しみが混在する、妻の複雑な心境を表現した迫真の演技は必見です。
日進月歩でデジタル化が進む時代、いつからか、スマホやカメラで撮影した画像をプリントし、アルバムに想い出を残すことが習慣から消えつつありますよね。
想い出をときどき振り返ってみたくなる。そんな45秒間のドラマ、全編はこちらから。