糖尿病や認知症予防まで!?筋トレがやっぱりすごい「5つの理由」

普段から運動を行って筋肉量をキープすることができれば、「健康体を維持したまま長生きできる身体コンディション」は整っていきます。糖尿病や認知症といった病気の予防にもつながるかも。というくらい「筋肉」は健康に大きく関わっているようです。ここでは、久野譜也さんの著書『筋トレをする人が10年後、20年後になっても老けない46の理由』より、筋トレをするべき5つの理由をご紹介します。

01.
疲れが抜けないのは、
筋肉量の低下が影響

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意外と知られていませんが、筋肉量の低下は「疲れやすさ」に直結しています。「この頃、疲れがたまりやすくなった」「何日間も疲労感が抜けない」といった症状は、どれも筋肉が減ってきたせいだといえます。

筋肉は体を動かす活力エネルギーをつくる工場。筋肉量が減ってきたのに、以前と変わらない活動量を維持しようとするから、エネルギー不足に陥って疲労を溜め込むようになっていくのです。

たとえば、体の筋肉量を「車の排気量」に置き換えてみましょう。20代のときは5000ccの排気量があったとします。それだけ馬力があれば、多少無理してガンガン走ってもへこたれません。ところが、30代は4000cc、40代は3000cc…と、それだけ排気量が違うと、同じ仕事をするにしても疲れ方が違ってきますよね。こうした「疲れを貯めやすい状況」を変えたいなら、日々筋トレに励み、筋肉量をつけて排気量を引き上げていくことです。

02.
筋肉は体を支えるコルセット
腰痛・ひざ痛を防げる

私は腰痛やひざ痛の原因も、元を正せば「筋肉量減少の問題」に行き着くと考えています。筋肉とは体を支える「コルセット」のような存在だといえるでしょう。

たとえば、腰を支えているコルセットは、大腰筋、腹筋、背筋などの筋肉です。これらの筋肉が細くなってくると、体の支柱である脊椎を支える力が低下してきます。すると、上半身の重みに耐えかねて、だんだん姿勢が前かがみになってきて、腰椎に大きな負担がかかるようになるのです。
ひざ痛の場合もだいたい一緒。ひざの関節の上に発達しているのが大腿四頭筋です。とりわけ、内側広筋という太ももの内側の筋肉が衰えてくると、関節が弱体化して痛みが生じます。

ですから、腰痛やひざ痛に悩まされたくない人は、筋肉量を落としてはいけません。体を支えるコルセット(=筋肉)の力を落とすことは、一挙に関節に負担をかけることにつながります。

03.
糖尿病は「筋肉減少病」だった

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私は、「糖尿病は『筋肉減少病』である」と考えます。そう聞くと、きっとビックリされる方も多いことでしょう。糖尿病というと、食べ過ぎや飲み過ぎなどの食生活の側面に目が行きがち。筋肉がどうのこうのという人は、医師にもそう多くはありません。でも、糖尿病というのは、体内の過剰なブドウ糖を「筋肉という工場」が消費しきれなくなって起こる現象なのです。

詳しく説明すると、食事はブドウ糖に分解されて血液に入った後、インスリンの働きによって筋肉に送られます。そこで、加工処理され、エネルギー源として使われていくわけです。したがって、筋肉量がたくさんあって、ブドウ糖を消費できれば、ブドウ糖が多少増えても問題は起こらないのです。

04.
筋トレとウォーキングの
二刀流で病気を防げ!

人間がさまざまな病気を遠ざけて健康で活動的な毎日を送っていくためには、「筋肉という工場」の”生産量”をどれだけ引き上げられるかがカギになってきます。そのためには、「筋トレ」と「ウォーキング」の両方が必要です。

筋トレは運動機能や体力の低下を防ぐことにつながります。そのほか、疲れやすさ、だるさ、冷え性、腰痛、ひざ痛、骨粗鬆症など、多くのトラブルを防ぐのに役立ちます。また、ウォーキングなどの有酸素運動は、代謝系・動脈系の低下を防ぐことになります。脂肪燃焼を促して肥満予防に役立ちますし、血管を柔らかくして動脈硬化予防にも役立ちます。動脈硬化が防げれば、脳卒中や心筋梗塞のリスクも減るでしょう。そのほか、血圧を安定させる効果、血液をよくする効果、心肺機能を高める効果なども期待できます。

ですから、筋トレとウォーキングの二つを習慣にしていれば、そうそう病気に悩まされることはないでしょう。

05.
認知症予防に役立つ!?

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筋トレやウォーキングなどの運動は、認知症を予防するのに役立ちます。ある研究によって、筋肉には体を動かしたり支えたりする以外にも、重要な役割があることがわかってきています。

それは「内分泌器官」としての役割。体を動かすたびに、筋肉からはさまざまな物質が物質が何十種類も分泌されているのです。たとえば、運動で体を動かすと、筋肉組織からイリシンという物質が分泌されます。そして、このイリシンは分泌されると血液を通して脳へ入っていき、脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質の分泌を促すのです。

筋肉をさかんに動かせば、イリシンやBDNFがたくさん分泌されて、脳の機能を高めたり認知症を防げるのではないか。という可能性が高まっているわけです。

筋トレをする人が10年後、20年後になっても
老けない46の理由
コンテンツ提供元:毎日新聞出版

久野譜也/Shinya Kuno

筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。スポーツ医学の分野において、サルコペニア肥満、中高年の筋力トレーニング、健康政策などを研究。2002年に「日本全国を元気にする」というミッションを掲げ、大学発ベンチャー「㈱つくばウエルネスリサーチ」を設立。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。