東京とロンドンの通勤風景。似ているようで、明らかに違う点。

多くの課題を抱えながらも、英国の経済状況はここ20年間右肩上がり。人口や資源において優位とは言えないはずのこの国が、なぜ国際社会においてこれほど高い地位を維持できるのでしょうか?

書籍『現役官僚の滞英日記』(PLANETS)の著者である現役官僚の橘宏樹氏が、自身が名門大学で過ごした2年間の滞英経験をもとに、英国社会の"性格"に迫ります。

第三回となる本記事では、2年間の滞英経験をもとに氏が感じた、日本と英国の街の雰囲気、人々の違いについて。

※前回の記事はこちら

街を行き交う人々のまとう雰囲気

ロンドンのバスや地下鉄車内は本当に人種が雑多です。白人も黒人も、アラブ系もインド系も、アジア系もラテン系もいます。

チャイナタウンのような一定の区域では、アジア系が多いなと感じることもありますが、交通機関の中ではあまり感じません。

僕は日本に帰国したら、最初は周りがすべてアジア系、しかも日本人であることに違和感を感じてしまうかも。

ただ、ロンドンの街中は人種は雑多なのですが、お年寄りや車椅子の方は地下鉄では特に少ない印象です。バリアフリーではないからでしょう。

通勤時の車内の人々は、朝・夕に駅等で配布されている無料の新聞を読んだり、イヤホンで何か聞いていたり、スマホを操作しています。一見すると東京と同じですが、人々のまとう雰囲気が大きく違うように思います。

というのも、ロンドンの通勤途中の人々は、イヤホンを挿していても、依然として外界に対して神経を開いていて、目が合った人同士はニッコリしますし、ギュウギュウ詰めの車内で知らぬ者同士が雑談していたりもします。

イヤホンはあくまでも音楽やポッドキャストなどを楽しむ道具にすぎない、という具合に。路上でも「歩きスマホ」の人はいますが、スマホにばかり気を取られているようには見えません。

東京を訪れたことがある外国人の友人たちは「ストレスを抱えている人が多いよね」とよく言っていたものですが、ロンドンの地下鉄の風景に慣れたあとに東京の地下鉄の車内の人々のことを思い出すと、多くの人が目を閉じたり、うつむいたりしていて「話しかけないでくれ」「邪魔しないでくれ」というオーラを発していたように思います。

東京の人々にとってスマホやイヤホンは音声を楽しむというより、煩わしい外界をシャットダウンして自分の世界を守る道具なのかな、と考えるようになりました。

カフェと道路の関係性

5830632114487296

東京で暮らしていたときにひとつ疑問に思っていたことがあります。

東京のお洒落なカフェにはテラス席があり、天気のいい日に外でお茶したりするのは気持ちが良さそうなのですが、実際に座ってみると席が道路ギリギリにまで張り出していて、通行人や車の往来であまり落ち着ける雰囲気がなかったりします。

ですがテレビに映るヨーロッパのカフェは、同じように道路にずいぶん張り出しているのに、ゆったりと落ち着けるように見えました。これはなぜなんだろう、と思っていたのです。

そして実際にロンドンのカフェのテラス席でぼんやりしてみて気がついたことは、テラス席が「進出」している道路は、人も車もほとんど通っていないということでした。

これはなぜなのか、僕なりに思いついた仮説はこうです。

まず、こちらの道路は旧市街では目抜き通りでも1~2車線くらいの道幅で曲がりくねっています。古い街並みを保存するためか、区画整理がほとんどされておらず、「碁盤の目」のようにはなっていません。

そして一方通行の道路や行き止まりが非常に多いです。結果として、便利な道路と不便な道路がはっきりしてしまい、車がほとんど通らない道がたくさん生じているようです。

すると、こういう道路にはテラス席が少々展開していても、あまり問題にされない、ということなのかなと思われます。

加えてロンドンでは「コンジェスチョン・チャージ」といって、都心に車を乗り入れる際に料金がかかるという政策もあり、これが効果を発揮しているということもあるでしょう。

この点、東京は関東大震災や空襲などを経て、大規模な区画整理がなされており、渋滞や災害対策からたいていの道路は道幅が広いので、どこに向かう人にとっても便利な道路が多くなっています。

カフェなどの店舗の道路使用には規制もあるので、東京の大通り沿いのカフェは自然と窮屈になってしまうのかなと。

ロンドンにはこれからの東京にとって大変参考になることが多くあると思います。しかし、カフェテラス様式のように、道路環境が違う東京にそのまま持ってきても、必ずしも良いものにならないものもあるようです。

橘 宏樹(たちばな ひろき)

官庁勤務。2014年夏より2年間、英国の名門校LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス)及びオックスフォード大学に留学。NPO法人ZESDA(http://zesda.jp/)等の活動にも参加。趣味はアニメ鑑賞、ピアノ、サッカー等。twitterアカウント:@H__Tachibana

書籍『現役官僚の滞英日記』(PLANETS)の著者である現役官僚の橘宏樹氏が、自身が名門大学で過ごした2年間の滞英経験をもとに、英国社会の"性格"に迫りま...
書籍『現役官僚の滞英日記』(PLANETS)の著者である現役官僚の橘宏樹氏が、自身が名門大学で過ごした2年間の滞英経験をもとに、英国社会の"性格"に迫りま...
書籍『現役官僚の滞英日記』(PLANETS)の著者である現役官僚の橘宏樹氏が、自身が名門大学で過ごした2年間の滞英経験をもとに、英国社会の"性格"に迫りま...
書籍『現役官僚の滞英日記』(PLANETS)の著者である現役官僚の橘宏樹氏が、自身が名門大学で過ごした2年間の滞英経験をもとに、英国社会の"性格"に迫りま...
アメリカでビジネスを展開するPaladin Deception Servicesは、ちょっと変わった企業。お金を払えば、スタッフがあなたのためにウソをつく...
高級チョコレート店「レオニダス」の隠れ人気商品。むっちり食感のフルーツゼリー。
書籍『現役官僚の滞英日記』(PLANETS)の著者である現役官僚の橘宏樹氏が、自身が名門大学で過ごした2年間の滞英経験をもとに、英国社会の"性格"に迫ります。
多くの課題を抱えながらも、英国の経済状況はここ20年間は右肩上がりです。人口や資源において優位とは言えないはずのこの国が、なぜ国際社会においてこれほど高い...
ロンドン・ヒースロー空港での食事。制限区域内にある『キャビア ハウス アンド プルニエ シーフード バー』は「イギリスだから料理が不味い」の概念を覆します。
普段何気なく暮らしている東京の街を、外国人が見るとどう感じるのか?こうしたコンテンツは、文化の違いが見てとれるのでかなり好物。「そんなものに興味を示すの?...
「Langogo」は自動翻訳機としてだけでなく、モバイルWi-Fiルーターとしても機能するんです。
国が違えば宗教も違う、そうなると食べるものだって当然違いが出るものです。では、ロンドンに暮らす人たちの食事情はどんなもの?
「ほめ日記」を知っていますか?読んで字のごとく、日記を書くときに自分を「褒める」というものです。これをすることで、現代人が抱えやすいストレスが解消され、今...
通勤時間を有効に使いたいーー。本を読んだり勉強するのは一般的ですが、新たに「体を鍛える」という選択肢が加わるかもしれないのがロンドン。ジムを備えたバス「R...
旅行雑誌のカバーには決して載らないけれど、マストチェックなロンドンスポット!
渋谷・道玄坂のクラブ「VISION」で秋の夜長を楽しむ女の子をスナップ&セルフィー。アンケートへの名解答&珍解答にも注目!
絵を売りながら旅をしていたMaxwell Tileseさん。イギリスへ行った時に、ロンドン市内にあった歴史あるパブに魅せられ、パブの絵を描いた。ロンドンへ...
今回は手塚千砂子さんの著書『「ほめ日記」効果・自分を味方にする法則』から、具体的にどんなものなのか、どういった効果が期待できるのかをまとめてみました。「ほ...
イギリスにはこんな言葉があります。「朝、8時12分の気分でその日1日がどんな日になるかが決まる」。1日のはじまりを気持ちよくスタートさせるために、一人の男...
セント・ポール大聖堂を、ロンドンの一般的な道に再現しようというプロジェクト「LUCIDA BASILICA」の紹介。
イギリスのランジェリーブランド「Bluebella」の下着を身に纏って撮影に臨む3人の女性。カメラを前に少し緊張した面持ちですが、それもそのはず。彼女たち...
ロンドンのストリートライフを中心に撮影するEdo Zolloは、夜もふける頃にだけ感じることができる“邪悪なロンドン”を写し出す。彼いわく、深夜だけに聞こ...
2016年1月、初めて日本を訪れたイギリス人シネマトグラファーChristoph Gelepさん。5日間の東京滞在、夢中でカメラを回し続けた彼の目に映る東...
造形物はすべて販売商品。「無印良品(MUJI)」が10,000点の商品を積み上げて東京の街を再現しました。東京都、東京観光財団、そしてMUJIによるコラボ...