7歳のいとこに「タトゥー」を勧めたら、病気を克服してくれた。
知っている人も多いかもしれませんが、糖尿病には、生活習慣に全く関係なく引き起こされるものもあります。
それが、1型糖尿病。別名、小児糖尿病。これは体内で行われるインスリンの分泌やその働きが悪いことが一因となっています。
“小児”というくらいだから、こどもの患者が多いようです。
治療には最低でも毎日5回はインスリン投与しなければならず、幼いこどもたちは、この行為を嫌がるそう。
このような状況を変えるために、怖がらずに注射をできるキットが開発されました。
メキシコのデザイナーRenata Souza Luqueさんは、7歳のいとこが1型糖尿病になったことをきっかけに、「Thomy」を製作しました。
その見た目はおもちゃのようで、小さなリュックに入るくらいのコンパクトさ。
注射針の存在をまぎらわせ、持ち運ぶのがカッコいいと思えるようなデザインにすることで、インスリン投与を楽しくするというアイデアです。
インスリンは、むやみにどこでも投与していいわけではありません。
安全を考えて、すでに投与した場所を覚えておく必要があるそうなのですが、それがこどもにとってはもちろん、親でさえも難しいという現状だとか。
そこでRenataさんが目につけたのが、3日間限定のタトゥー。
色の付いたドットの入った可愛らしいデザインを肌に貼って、そのドットに合わせてインスリンを投与します。
種類は、宇宙船や海の生きもの、などなど。イラスト選びも楽しめて、インスリンを投与している感覚を忘れてしまうかもしれません。
ちなみに、「Thomy」は通常の注射器よりも短く、しっかりつかめる持ち手と、インスリンを残さず投与できるように押しボタンがついています。
なぜなら、通常の注射器はこどもの手には少し長くて持ちにくく、最後まで押し込むことが難しいから。
自分の生活が制限されたり、友だちと思うように遊べなかったりと、病気に苦しんでいるこどもたちは世界中に多くいます。
治療に対する抵抗を減らし、さらには頑張って治すことに誇りをもってもらう。
Renataさんの想いは届き、彼女のいとこは無事糖尿病を克服して、今は元気に生活してるそうです。
「Thomy」は、この成果を高く評価され、2017年のJames Dyson Awardでファイナリストに選出されたそうですよ。