「ビール」×「チーズ」最高のペアリングを試す3つの方法

世にチーズ好きは多いけど、「ビールに合うおつまみを挙げて」と聞くと、果たして第一声から「チーズ!」と答えるのでしょうか。こればかりはどうしても「枝豆」に軍配が上がりそう(笑)

ところが、「Food52」で紹介されたこの記事、ライターElena Santogadeさんに言わせると、ビールとチーズの組み合わせがじつに奥深く、面白いそうなんです。

初心者でも簡単にこのペアリングが楽しめるよう、あらかじめ知っておきたい法則や、ペアリングパーティの楽しみ方までをElenaさん視点でレクチャーしています。

いやぁ、それにしても、冒頭のような変化球な質問をされたとしても、一番に「チーズ」が思い浮かばないようでは、チーズ好きだなんて気軽に公言できませんね。

合う!
「ビール」×「チーズ」

ビールとチーズの相性──これは、モルトとミルクシェイクみたいな関係。食べ物で例えるならばパンとバター並みってところでしょうか。私がこれから記す3つのオキテを心に留めておけば、あとは自分のセンスを頼りにとにかくたくさんのビールとチーズを試してみてください。

ペアリングを存分に楽しむための鉄則をひとつ。

まずはビールをひと口飲みます。
それからチーズをテイスティング。
最後にもうひと口ビールをすすって、チーズを流し込む

重要なのは両方同時に味わうこと。テイスティングをして2つの味がどのように交わり、どう変化するかに注目しましょう。

Photo by James Ransom

ペアリングにおける
3つの鉄板ルール

1.
味の強さが同じものをチョイス

シーソーのバランスが取れている、あのイメージです。基本的なルールとして、片方の味が著しく強いのはアウト。例えば強くて苦味もあるエールの場合、パンチが強い分、最初のうちはチーズとのペアリングに苦労するかもしれません。

そこでヒントです。同じチェダーチーズでも、クラシックなもの(クロスバウンドチェダーなど)を一緒に試してみましょう。チェダーの力強い味わいは、ホップが効いたペールエールと似ていて、後味に苦みを感じます。これが相性の良さ。バランスのとれたシーソーのできあがりというわけです。

意外なコンビネーションにチャレンジしたいときは、ライトで爽やかなホワイトエールを、思いっきり熟成されてずっしりとしたバーボン風のゴーダチーズと合わせてみるのもアリ。まるで手品のように、ビールがあっという間に口から消えてしまう感覚が訪れますよ。

2.
“口あたり”を覚えておく

ビールはすべて“炭酸”とくくってしまわずに、さまざまなビールの「口あたりの違い」を学びましょう。まずは感覚が掴めるよう、基本的なガイドラインを共有。

〈ホワイトエール、ピルスナー〉

・炭酸が強く、細かい
・スパークリングワインに似て泡が細かく、ピリピリする感じ

〈トリペル、アビーエール〉

・重たく、シロップのように感じられることがたまにある
・ほぼ炭酸が抜けている感じ
・泡立ちが少ない

〈ブロンド、サワーエール〉

・ライトで爽やか

これらの特徴が掴めてきたら、今度はもう少し深掘りしてみましょう。例えばスタウトでも、ミルクスタウトはリッチでクリーミー、昔ながらのアイリッシュ・ドライ・スタウトは、それに比べて案外ライトですよね。

一方でチーズは、脂肪と水分量によって変わるだけなので、わかりやすいはず。一例ですが、クリーミーなブルーチーズは水分を多く含み、バター脂のおかげでむっちり柔らかい仕上がり。ここに炭酸が効いたサワーエールをペアリング。これはこれで面白い。

あとは、上の表の両端にあるチーズとビールを組み合わせてみると、また違った面白さに気づけるのです。クリーミーなブルーチーズにリッチなスタウトを合わせれば、口中はまるで、アルコールが効いたミルクシェイク。未体験のおいしさをどうぞ。

3.
コントラストペアリングは楽しい
引き立てペアリングは満足感が高い

味の強さと口あたりを学んだところで、今度はコントラストしてペアリングするのか、味を引き立てるペアリングにするのかを選んでいきましょう。

コントラストするペアリングは、特徴が異なる2つをあえて一緒に味わうことで、調和性を見出す方法

このカテゴリーで相性のいいペアリングができると、新たな味が生まれるでしょう。チーズエキスパートやシスローン(つまりビールのソムリエ)いわく、これこそが「聖杯」なんだそう。

例えばリッチで香ばしいブラックスタウトに、鮮やかでハーブが効いたゴートチーズを合わせると、ビールは本来よりもライトな味に変化します。

一方でパルメジャーノ・レッジャーノをひとかけら噛み、サワーエールをひと口飲むと、どこからともなくパインとマンゴーの味が。別々に食べると味がきついブルーチーズトリペルエールも、一緒にすればまろやかな味わいになるのです。

楽しいけれど、ちょっぴり勇気がいるコントラストペアリング。最悪な味わいに遭遇する可能性もあるので、何度も試行錯誤するつもりでチャレンジしてみてくださいね。

反対に「引き立てペアリング」はどんなコンビネーションでも、わりとといけるので、もう少し気持ちにゆとりを持って挑めます

ビールとチーズで、味や要素が合いそうなものを選べば、だいたいはうまく交わることでしょう。ファンキーでイースト菌が多く含まれている外皮付きのチーズは、同じくらいワイルドでイースト菌たっぷりのセゾンビールがお似合い。

トリペルエールは、熟成したゴーダチーズを合わせるとバーボンらしさが引き立ちます。もう少し洗練された味がお好みなら、フレッシュなリコッタチーズに、ライトボディのホワイトエールがマイルドかつ爽やかで間違いありません。口の中でちょっとしたダンスを繰り広げてくれる組み合わせですよ。

では、改めて。覚えておきたい3つのルールです。

①味の強度は同じものを選択する
②質感(口あたり)を知る
③コントラストペアリングか、引き立てペアリングか絞る

ビールとチーズを買う際に、これだけ念頭に置いておければ、おそらくおいしい"何か"に巡り会えるはず。

もちろん他にも考慮できる点はたくさんありますが、まずはこの3つを軸に、自分が何をおいしく感じるか知るところからはじめるといいでしょう。

「Pairing Party Game」
にトライ!

【用意しておくもの】

段ボール紙3枚(ポスター大)、
上からペンキを塗ってもOKなテープ
色がすべて異なる水性マーカー(人数分)
段ボール紙を吊すスペース(壁が好ましいが大きなテーブル、床でも)

 

【ビールを準備】

ひとまず、上記の表から3種類のビールを選ぶことをおすすめします

 

【チーズを準備】

味とスタイルが異なるチーズを4つ
(ミルクのタイプもぜひお試しあれ)

 

【ペアリングの評価方法】

まずビール1つにつき、段ボール紙1枚を用意。分かりやすいよう、紙の上部にビールの名前を書いたら、その下のエリアは4つに分けます。これがチーズの枠。

そうしてゲストたちにはそれぞれ違う色のマーカーを渡し、パーティの間はそれを使ってもらいましょう。

ゲストがひと目でわかるよう、チーズとビールはラベル付けしておくと親切。ビールを片手にいろんなチーズを試してもらい、随時感想を紙に記入してもらいます。

特記:チーズとビールが苦手なゲストを呼んでしまった場合、表を使ってあらかじめ味を説明してあげてもいいかもしれません。

 

さて、こうしてパーティが終わりを迎える頃には、数々のテイスティング評価が集まっているはず。同じ味の強度を持つチーズとビールのペアリングは好評でしたか?人気が高かった「質」の掛け合わせは?不評だったペアリングは?ほかの人の感想で共感できた点は?

有史以来、どちらも時代ごとに変化を遂げてきた発酵もの。ビールにもチーズにも「絶対」なんてありませんが、意識的に試行錯誤を重ねることで、やがて舌もそれを覚えてくれるはず。こうなると、いつの間にか周りに一目置かれるソムリエになってる可能性も。

さあ、チーズとともに乾杯しましょう!

Written byElena Santogade
Licensed material used with permission by Food52
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