依頼の絶えないクリエイティブ集団が、発想力のために大切にしていること

私が暮らすスペインと日本とでは、「サステイナブル」の考え方が根本的に異なると感じています。

では、どう違うのか?

前回はミシュラン三ツ星レストランを題材にして説明しましたが、今回はあるクリエイティブ企業のフィロソフィーにスポットを当てたいと思います。

もっとも大切なのは
社員が「幸せ」かどうか

以前、Japanese Technology Meets Spanish Designの記事で紹介した「Erretres Strategic Design Company」も取り組み方がユニークです。

彼らの場合、その軸にあるのは「幸せ」であること。

働くこと自体が楽しく意味のある時間でなければ、素晴らしいパフォーマンスは生まれません。自分のことを不幸だと思っているデザイナーが、人々や社会をハッピーにするデザインを生むというのは無理があるからです。

この哲学は徹底されていて、例えば創業者のパブロ・ルビオ自身もクリエイティブな思考に専念するためにCOOを雇い、日常的なマネージメント業務を手放しているほど。社員も18時頃には退社してしまいますし、夏休みも2、3週間は取ります。

オフィスも秘密基地のようなデザインで、デザイナーにとっては遊び場のような空間。

会社全体で社員が20人程、営業機能を一切持たないにも関わらず、世界中からプロジェクトが舞い込み、才能あるデザイナーが集まるのには、こうした哲学が関係しています。幸せになるための環境を本気でデザインすることが、社員の高いパフォーマンスに繋がり、企業として持続的に成長するサイクルを生み出す源泉になっているのです。

クリエイティブと言われる産業は過労気味な業界です。この傾向は日本で特に強く、クリエイターやデザイナーと言われる人は、長時間勤務と過酷な労働条件を強いられがち。

しかし、こうした環境では柔軟な発想は生まれにくいですし、個人も企業も目先の利益に走ってしまいます。社員・企業・業界・社会全体にとって持続的に成長するために、幸せという抽象的な概念を重視しているのです。

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