世界遺産とは全然違う「日本遺産」ってナニ?

日本遺産」って聞いたことありますか? 世界遺産ではありませんよ。JAPAN HERITAGE、そう、日本遺産です。

あぁ世界遺産と似たような認定でしょ、世界遺産の縮小版かな、なんて思ったとしたら、それは大間違い。

日本遺産の認定には「なんか、おもしろそう!」が重要視されていたり、独特な基準があったりと、世界遺産とはまったくの別物なんです。

世界遺産→遺産を保護
日本遺産→遺産を活用

©2018 日本遺産ポータルサイト

シンプルに説明すると、世界遺産はUNESCOの取り組みで、目的は遺産を保護すること。日本遺産は文化庁の取り組みで、目的は遺産を活用すること。

もう少し詳しく書くと、

■世界遺産は
1972年、UNESCO(世界遺産は国際連合教育科学文化機関)によって採択された「世界遺産条約」の条約締約21ヵ国の代表で構成される世界遺産委員会が、専門機関による調査をもとに、世界遺産リスト登録の可否を決定。登録された場合、その国は該当する遺産などを保護する義務が発生する。

■日本遺産は
日本遺産は平成27年(2015年)、文化庁により始まった取り組み。年に1回、文化庁が都道府県を通して市区町村に公募。市区町村が申請し、認定された場合は、観光や地域活性化のために認定箇所を利用することができる。

と固い感じになってしまうので、もっとくだいて説明していきますね。

日本遺産が大事にするのは
「ストーリー」

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世界遺産には10種類の基準があって、その遺産がいずれかに該当している必要があるんですけど、日本遺産では「ストーリー」が基準になります。この基準が、独特。

まず日本遺産の対象は、全国の市町村になります。各自治体から申請する場合、その土地の歴史、伝承、風習をひとつの「ストーリー」としてまとめ、それに関連する遺跡、名勝地、祭などをパッケージ化するんです。

つい、自治体がつくるストーリーってなんか固苦しくなりそう……と思ってしまったんですけど、そこは文化庁も「ただの解説になっていないか」などをチェックしていて、興味深さ、斬新さ、希少性、地域性、理解しやすさ(専門的な知識がなくても分かる)、などの5つの基準があるそうです。

どんな「日本遺産」が
認定されてるの?

2018年5月24日、新たに13の日本遺産が認定されたので、一部ご紹介しますね。

01.
北海道
カムイと共に生きる上川アイヌ

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たとえば、北海道ならこんなストーリーです。

上川アイヌの人々は「川は山へさかのぼる生き物」と考えていて、川の上流にある大雪山は「カムイミンタラ〜神々の庭〜」として崇拝してきました。

また彼らは、激流がほとばしる渓谷に「魔神と英雄神の戦い」の伝説を残し、祈りを捧げたそうです。伝承してきた上川アイヌの文化は、今もこの大地に息づいているんですね。

なるほど、「日本遺産」が少しだけイメージできてきました。

02.
栃木県
地下迷宮の秘密を探る旅

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次に、栃木県のこんなストーリー。

江戸時代に始まった大谷石採掘は、最盛期には年間89万トンを出荷する日本屈指の採石産業として発展し、地下に「巨大な迷宮」を生み出したんです。

その後の宇都宮には石を掘る文化、採掘された石を変幻自在に使いこなす文化が受け継がれ、今でも訪れる観光客を魅了しているんです。

いくつになっても巨大迷路ってワクワクしますもんね。日本遺産、納得です!

03.
岡山県
「桃太郎伝説」の生まれたまち

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『桃太郎』なんて、これぞまさにストーリー。

岡山は、鬼退治の舞台として伝説が残る街です。絶壁にそびえる鬼ノ城は温羅(うら)という鬼の居城とされていて、この鬼は吉備津彦命(きびつひこのみこと)に倒されました。

その逸話こそ、誰もが知る「桃太郎伝説」の原型になったとされていて、関連しているたくさんの遺産も神秘的に誘ってきます。

もーもたーろさーん、にほんいさーん!

04.
大分県
鬼が仏になった里「くにさき」

桃太郎伝説とは打って変わって、大分の「くにさき」のお寺には、人々に幸せを届ける鬼がいるそうです。鬼は不思議な法力を持つとされていて、鬼に憧れる僧侶たちによって「仏(不動明王)」の姿と重ねられていきました。

寺院を巡ると、鬼面や優しい不動明王に出会え、この街の「鬼に祈る文化」を体感できるはずです。

ところ変われば、ストーリーも変わる。だんだん他の「日本遺産」も知りたくなってきました。

聖地巡礼やロケ地巡りに
似てる!?

「日本遺産」について、なんとなくイメージできたのではないでしょうか。

その土地で語り継がれる歴史や伝説、神話とともにさまざまな遺産をめぐる——。なんだか、聖地巡礼やロケ地巡りのような感覚で、国内の旅を楽しめそうです。

日本遺産ポータルサイト」を見ながら次の旅行の計画を立てるのもありだと思いますよ。

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