日本初の世界自然遺産「白神山地」が直面している4つの危機

青森県と秋田県にまたがる「白神山地」。21年前に日本初の世界自然遺産に登録された、言わずとしれた日本が世界に誇るブナ原生林がそこにある。

8千年前の縄文時代から人の手がまったく入っていない巨大なブナ天然林が広がっており、またツキノワグマ、ニホンザル、キツツキ、イヌワシなど、日本ならではの動物たちが暮らす豊かな生態系を擁している。天然記念物のカモシカも生息しており、さながら大自然の博物館といった趣だ。白神山地全体の面積は、なんと13万ヘクタール。実に山手線の内側の約3倍もの広大な土地が、世界自然遺産として登録されている。

貴重な自然に触れようと、毎年多くの観光客が訪れる白神山地。しかし近年、その存続が危ぶまれるような、大きな問題が4つ発生している。

01.
過疎化と高齢化によるガイド減少

白神山地を案内できるガイドが圧倒的に不足している現状がある。原因は、過疎化と高齢化。秋田県全体としても人口減少が激しく、10年連続日本ワースト1位を記録している。2040年には24市町村が消滅するという予測さえ出ている状況だ。たくさんの人に白神山地の魅力を伝えたいという思いがありながら、ガイド後継者が足りていないという切実な問題があるのだ。

02.
生態系のバランスが崩れたことによる食害

白神山地に生息しているニホンジカの数が、近年急速に増加している。繁殖力が強く、食欲旺盛でほとんど全ての植物を食べることができるため、木の若芽が食べられてしまったり、樹皮が剥がれてしまう問題が起きている。原因として、人口減に伴うハンター不足や、地球温暖化による環境の変化などが挙げられているが、いまだはっきりとはしていない。

このままいけば原生林が破壊されてしまう可能性がある。またニホンザルが食い荒らした農作物の被害は約3,000万円にも及び、今なお増加傾向にあるという。観光も農業も見過ごせないダメージを受けている。

03.
人里の植物が持ち込まれ繁殖

「オオバコ」という植物がある。踏みつけられても成長し続ける生命力の高い植物で、路傍に生えているごく一般的な草のひとつだ。

そして、白神山地では本来、この地には生息していないこのオオバコの繁殖が問題になっている。増えすぎれば土の栄養を吸収してしまい、他の植物が育たなくなってしまう。かといって、駆除するのも容易ではない。
この原因は、実は登山客。靴についた種子を知らないうちに持ち込んでしまっているのだ。泥落としの設置など措置を進めてはいるものの、限られた予算では周知も設備も不十分で、いまだ解決は見えていない。

04.
一般観光客のマナー悪化

観光客は来ているものの、同時にマナーの悪化も問題になっている。ゴミを投げ捨てることによって環境が荒らされたり、野生動物への餌付けが生態系を崩してしまっていることも報告されている。また犬を連れた登山も注意が必要で、排泄物に含まれる雑菌が持ち込まれることによる悪影響もある。

観光客への呼びかけときめ細やかなパトロールが必要とされているのだ。

白神山地は、世界自然遺産として貴重であるだけでなく、美しい観光名所であることは間違いない。春は山菜採り、夏は沢歩き、秋は紅葉を愛で、冬は野ウサギやカモシカの足跡を探すことができる。しかしその素晴らしい白神山地が危機に晒されている。その問題は、広く情報を発信することで解決するものも多い。

そこで「秋田白神コミュニケーションセンター」が中心となって、ウェブサイトのリニューアルが計画されている。そのための支援を、現在READYFORで募集中だ。支援者には、白神山地の美しい写真やイベント招待券、さらにきりたんぽやあきたこまちなどの名産品に加え、オーダーメイドの登山ツアーを受け取ることができる見返りも。ぜひ白神山地を救うために、支援を考えてみて欲しい。

btn_readyfor_150423

「日本遺産」って聞いたことありますか? 世界遺産ではありませんよ。JAPAN HERITAGE、そう、日本遺産です。世界遺産の縮小版かな、なんて思ったとし...
今年、固有種や絶滅危惧種などの生息地にもなっている梵浄山が、世界自然遺産に登録されました。これにより中国はオーストラリアとアメリカを抜いて世界自然遺産の数...
ミシュランガイドに載るほど外国人人気が高いという島根の世界遺産・石見銀山。今年で世界遺産登録10周年を迎え、日本の産業を支えた重要な世界遺産でありながら、...
世界自然保護基金<WWF>が打ち出した新しいコレクションは、全面に工事現場や、自然を破壊する情景の写真が使われている。環境を守りたいと思うからこそ、生み出...
去年ローンチされた「Keebo」は中国の幼稚園で先生のアシスタントとして活躍中!歌ったり、踊ったり、計算したりいろいろとマルチタレントで、子どもたちの人気...
シャキーム・グリフィンは今年シアトル・シーホークスからドラフト指名を受け、4月にNFL入りを果たしました。
福岡県・宗像市にある上陸できない世界遺産「沖ノ島」を最も実感できるものに出会いました。その名も「沖ノ島朱(おきのしまあか)」。沖ノ島朱は、偶然と偶然が重な...
ここで取り上げるのは空中写真家Tom Hegenさんの写真。彼はいかに人間が自然を破壊しているのかが分かる景色を撮影しています。
大気汚染や水質汚染問題など、汚しているのは人間だけど、結局のところ最後に困るのも人間だと思う。オランダの環境問題について真剣に考えるAlice de Kr...
2014年に世界遺産に登録された「富岡製糸場と絹産業遺跡群」をわかりやすくご紹介。
米旅行情報誌『Condé Nast Traveler』が主催する「世界最高の島」。およそ77,000人の読者から選ばれた、2015年最も美しい島が決定した...
「Spirit Science and Metaphysics」の記事には、18種類の動物が掲載されています。そのほとんどは、多くの人にとってこれまで目に...
女性にとって必需品の生理用は、毎年大量のプラスチックごみとなって排出されます。この問題を解決するために、世界初の「再利用できるタンポン」が開発されました。
自然界の存続に実は多大な影響を与えているハチがいま、絶滅の危機にさらされています。捨てれば捨てるほどハチを救える「紙」が、世界ではじめて開発されました。
なんてかっこいいアルバムなんだ! って思って、聞きはじめて最初の数秒でもっていかれた。
2016年3月、マリーナベイ・サンズのアートサイエンス・ミュージアムに、1,500平米もの巨大な常設展示「FUTURE WORLD: WHERE ART ...
人が美しいと感じる自然、もしかしたらそれは誰かが手を入れた人工的なものなのかもしれません。
世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」と言えば、オーストラリアにあるスキューバダイビングスポットとして有名な観光地の一つ。エメラルドグリーンの海の様子...
自然保護政策の先進国コスタリカ。国土の約1/4を自然保護区に指定するほど、生物多様性を保つ活動に積極的。この“生命の楽園”で、世界に先駆けた新たな計画が進...