空港もエコの時代。誰もが見落とす意外な「アレ」でまさかの節水対策を実現した!
米メディア「TakePart」で、ジャーナリストPadma Nagappan氏が、サンディエゴ国際空港の節水対策に注目した記事をご紹介。
記録的な干ばつ被害が深刻化するカリフォルニア州において、この空港が乗り出した取り組みは、最新テクノロジーを駆使したものかと思いきや、誰もが見落としがちな意外な方法。節水対策に励む企業努力が見て取れます。
現在、米カリフォルニア州の空港では、年間およそ数億ガロン(※1億ガロン=約3億7千万リットル)の水が使用されています。深刻な干ばつが続くカリフォルニア州において、この空港で使用される大量の水をムダに浪費せず、再利用する施策がついに始まったようです。
例えば、ロサンゼルス国際空港では一年間におよそ5千万ガロン(約2億リットル)以上の水が使用されています。サンフランシスコ国際空港においては、およそ倍の量。
ところが、アメリカで3番目の大きさを誇るサンディエゴ国際空港では、約7,700万ガロン(約3億リットル)に抑えることができています。この空港では、日々浪費する水をどうにか捻出すべく、エアコンの室外機から出る水を収集するなどして、節水対策に励んでいるようです。
「エアコンの冷却水だけでなく、空気中の湿気からも水を採取して、我々は何度も繰り返し使用しているんですよ」
サンディエゴ国際空港で、施設環境部門の統括マネージャーを担当するBrendan Reed氏が言います。単純計量しても、順調にこのまま節水対策が進めば、2015年だけでおよそ5,7000ガロン(約21万リットル)の水を節約することが可能とのこと。
こうして溜められた水の利用法のひとつが飛行機の冷房システムに活かされます。例えば飛行機がケートに接続される際、搭乗口から機内へ続く「ジェットウェイ」の真下をホースが通り、燃料の代わりに機内の冷房設備をコントロールするシステムが実際に採用されているそうです。
これまで、空港内に設置されたエアコン室外機からぽたぽたと地面に落ちる水滴により、滑走路の地面を浸食し傷つける危険性がありました。ならば、「この冷却水もビンに集めてしまおう」と、至極単純なアイデアを空港スタッフが発案。なんと、それがそのまま採用されることになったという訳。
サンディエゴ国際空港第一ターミナルのゲート数は8つ、貯水タンクがから続く循環ホース8本が、各ゲートへと敷かれています。集められた室外機からの水は、歩道の清掃や空港内の乗り物を洗浄する際に利用されているんだそう。
干ばつという大きな問題に直面しているなかで、空港が採用したのは、意外にも誰もが見過ごすようなアイデアだったのです。
カリフォルニア州は、今年で4年目の干ばつを迎えています。すでに州の河川や貯水池は枯渇し、地下貯水池までもが急速に消え失せようとしている現状。空港をはじめとする街の大規模施設は、大量の飲料水を消費しているのは事実です。ですが、もしも、こうした施設で繰り返し水を使うシステムが構築できれば、より多くの飲料水をカリフォルニアに暮らす人々へと供給できます。
2014年秋から、カリフォルニア州の各空港では、港内で使用するあらゆる水の再利用化に努めています。こうして集めた水の17%を用いて、空港から近隣地域へと飲料水を供給するシステムも現在構築中だそう。
サンディエゴ国際空港の職員は、水処理を含む500万ガロン(約1,900万リットル)の水の使用を削減する節約システムの開発に乗り出しました。彼らはさらに、雨水の再利用も視野に入れています。前述のReed氏がその計画の一部を語ります。
「私たちは660エーカーの広大な空港から排水溝を通じて、およそ1億ガロン(約3億8千万リットル)の雨水を1年で貯める計画です。これが実現できれば、蛇口をひねるだけで、潤沢な再利用水が使えるようになるはず」
Licensed material used with permission by TakePart(Padma Nagappan)