世界遺産・西表島で暮らすのは、貴重な動植物だけじゃない。
2021年7月、沖縄県・西表島は、その“顕著な普遍的価値”が認められ、国連組織「ユネスコ」によって「世界自然遺産」に登録された。
イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナなどの貴重な生き物が生息していることで知られる“日本最後の秘境”にして、未開の原生林が残り、多様な生態系をはぐくむ“東洋のガラパゴス”──。おそらく多くの人が抱くであろう、西表島の姿。
しかし、この島には、古来から人々の営みがあった。日々の生活があった。
豊かな自然にばかりスポットが当たるこの島の“人々の暮らし”にフォーカスしたドキュメンタリー作品が、7月22日より「KEEN」の公式YouTubeチャンネルにて公開されている。
タイトルは『生生流転(せいせいるてん)』。
「西表島の豊かな自然と文化を明日に継承していくために私たちひとりひとりが考え行動していくこと」をテーマに掲げるプロジェクト「Us 4 IRIOMOTE(アス・フォー・イリオモテ)」の一環となるこの作品が追うのは、まるで壊れ物のような自然を、優しく丁寧に、そして先人たちの教えを守りながら、島とともに生きている人々の暮らし。
映像に残されているのは、日本におけるエコツーリズム発祥の地であるこの島で郷土研究を続ける男性や、途絶えていた昔ながらの手仕事を復活させ、独自の染め物文化を根付かせた人物をはじめとする、島の住民たちの“日常”だ。
2018年6月から3年にわたって作品を撮り続けた監督・仲程長治氏はこう語る。
「すべてのものは、つながっていて、すべてのものには、意味がある」
生物多様性は、なぜ重要なのか?
イリオモテヤマネコの生存を脅かしているのは、誰か?
「自然との共生」とは、どういうことか?
そして......生きるとは?
西表島で暮らす人々の姿から、これからの生き方のヒントや哲学を垣間見れるかもしれない。