デートすると、余計に孤独になることは学べたわ。――『マイ・プレシャス・リスト』
「人が楽しみにふけるのは、人生の現実から目を背けるためでしょ?」
人生を豊かにするのは、確固たる自分の信念を “たまには”くずすことなのかもしれない。勇気っていう言葉は、なにかを始めたり、どこかへ飛び込んだり、そんなときに頭に浮かんでくるものだけれど、じつは、自分以外のなにかを信じるときにこそ欲しいもの。
自分以外のなにかを信じて、大人になってきたはずなのに。それが真っ直ぐにできなくなってきたときには、いっそのこと彼女みたいに、子どもの頃に信じてきたものを、今もう一度たぐり寄せてみるのもひとつの手かもしれない。
人を好きになる、とはどういうことだろうか。そんな漠然とした問いの答えが、映画の中の彼女の人生を通して返ってくる。けれど、それだけじゃない。その答えに辿りつくまでの彼女の人生、きっとまるごと抱きしめたくなるはず。そして観終わったら、めいっぱい「自分だけの幸せ」を、ちょっとわがままに想像してみてほしい。
ニューヨークのマンハッタンで暮らすキャリーはIQ185、ハーバード大学を飛び級で卒業した天才だが、友達も仕事も持たず、読書ばかりしているコミュ力 “ゼロ”の屈折女子。話し相手はセラピストのペトロフだけ。ある日、彼はキャリーにリストを渡し、そこに書かれた6つの課題をクリアするように告げる。「何のために?」「それで問題は解決するの?」半信半疑ながらも、まずは金魚を2匹飼い始め、昔好きだったチェリーソーダを飲み、新聞の出会い広告でデート相手を探し……と1つずつ項目を実行していく。果たしてキャリーは、リストをすべてクリアして、幸せを手にすることができるのか――?
監督/スーザン・ジョンソン 原作/カレン・リスナー 脚本/カーラ・ホールデン 出演/ベル・パウリー ガブリエル・バーン ネイサン・レイン ヴァネッサ・ベイヤー コリン・オドナヒュー ジェイソン・リッター ウィリアム・モーズリー 他
全国公開中。