わたしには、強さがひつよう。――『バーバラと心の巨人』
「巨人がきたら、かけがえのないものが、跡形もなくなるの」
大人になれば、悩みごとも困ったことも、すこしは誰かに上手く伝えられるものかもしれない。あの女の子がからだを張って大事にしていたもの、抱えていた「とっても恐いもの」は、ほかの人にはわからなかった。
イマジネーションが豊かだからこそ、子どもはしんどい。気持ちの「逃がしかた」を知らないから。だからほんとは、ベッドの中にもぐり込んで一日中メソメソと泣いたっていいし、家族の腕の中にすべり込んでもいい。友達に手がでてしまうことだって、そんなのはあること。
だけど、この女の子はそのイマジネーションを、大人が想像もできないかたちで大事に、大事にしていた。
©I KILL GIANTS FILMS LIMITED 2017
「嵐のあとは、とても静かなの」という会話がある。たくさんの雨がふったあとは、空がいつもよりも晴れて木や花がピカピカと光って見える。それは人間にもおなじことがいえるのだと、この映画は教えてくれた。
『バーバラと心の巨人』
自分の殻に閉じこもり周囲から孤立する風変わりな少女・バーバラ。彼女にはある使命があった。それは、やがて自分たちが住む村に襲来する巨人を倒すこと――。しかし、姉や先生、初めて友達になれた転校生でさえも、すぐそこにまで迫る巨人の存在を信じず現実に向き合えと言うばかり……。そしてついに、巨人がバーバラの目の前に現れる。巨人がもたらす試練とは果たして。
製作/クリス・コロンバス 監督/アンダース・ウォルター 出演/マディソン・ウルフ ゾーイ・サルダナ イモージェン・ブーツ 他
全国公開中。
Top image: © I KILL GIANTS FILMS LIMITED 2017